いまだ支持率の高い安倍政権だが、内閣や霞が関を束ねる菅義偉(すがよしひで)官房長官(65)の存在が高く評価されている。官房長官の役割といえば、首相とその他から板挟みとなる中間管理職だ。

 会社員、公務員の世界に置き換えれば、優れた中間管理職とはどういうタイプをいうのか──。人材活性化支援会社FeelWorks代表を務め、『はじめての上司道』(アニモ出版)の著作もある前川孝雄氏が解説する。

「最悪の中間管理職は上司の意向をそのまま部下に伝えるタイプです。上司の意向を現場の実情に根ざしてかみ砕く『翻訳エンジン』の役割を果たしてこそ中間管理職でしょう」

 官房長官も首相の意向を官僚などの“部下”に伝えるのだから同じ役割だ。『指揮官と参謀』(文春文庫)などの著作がある作家の半藤一利氏は「名参謀の代表例として、米海軍のエドウィン・レイトンが参考になります」と言う。

「第2次大戦中、米太平洋艦隊の情報主任参謀を務めました。徹底的に日本海軍を研究し、ミッドウェー海戦で精緻(せいち)な情報をあげますが、最終的な決断は司令長官のニミッツが下しました」

 決断の責任は上司。そのため周囲から評価されるのも上司だが、部下はそれを喜びに感じる──どうやら、これが理想像のようだ。

※週刊朝日 2014年8月8日号より抜粋