スタンプショウ2013の会場で「かわいい切手」を熱心に選ぶ「切手女子」たち=東京都台東区 (c)朝日新聞社 @@写禁
スタンプショウ2013の会場で「かわいい切手」を熱心に選ぶ「切手女子」たち=東京都台東区 (c)朝日新聞社 @@写禁

 いささか懐かしい響きもある切手収集。近頃注目を集めているのが中国切手である。ある時代の中国切手に異常な高値が付いているという。『切手女子のかわいい収集BOOK』の著者、ばばちえさんによる最新切手事情。

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 切手ブームに熱中した子どもたちは、今や60代、70代。切手趣味を続けている人以外は、かつてのコレクションを押し入れの奥深くにしまい込み、存在すら忘れているのではないだろうか。ところが、あなたが持っているコレクションの中に中国切手が入っていたら、ちょっと話が違ってくる。なんと、時を経てすごい価値がついている切手があるのだという。

 中国切手に詳しい切手商のIさんは言う。

「中国切手の中でも、特に高額な取引が行われているのは、文化大革命近辺(1960~80年) の切手です。ものによっては値段が非常に上がっていて、日本円で額面20円くらいの小型シートが25万円。5種連刷の毛沢東切手などは、日本円で4円くらいの額面なのに、102万円のカタログ価格になっています」

 文化大革命の時代、中国では切手収集は廃すべき欧米文化であった。紅衛兵が収集家の元にやってきて「売国奴、切手を捨てろ」と大量の切手が廃棄されたという。これによって現在の中国本土には、文革当時の切手がほとんど残っていないのである。

「その時代、中国切手は日本と東欧にしか出回っておらず、特に日本では、中国切手の世界的コレクターである水原明窗(めいそう)という人が大量に買い集め、ファンへの頒布会なども開いていました。おかげで、日本にはその時代の中国切手がたくさん残っているんです」(Iさん)

 文革の嵐が去った後、中国切手の価値に目をつけたアメリカ人コレクターがまず日本にやってきた。そして90年ごろから中国人が来日し、自国の切手を大量に買い戻すようになったという。

「今でも中国から買いに来ますが、もう日本の市場は切手の数が少なくなってきています。70年代前後に中国切手を集めていた人なら、コレクションの中に、意外なお宝が眠っている可能性もあるかもしれません」(Iさん)

週刊朝日  2014年6月6日号より抜粋