「8万人収容の競技場を造って五輪後はどうするんですか。AKB48と嵐しか埋められませんよ!」

 得意分野の福祉や雇用政策とともに、コンパクトな東京五輪を公約に掲げる前日弁連会長の宇都宮健児氏(67)。各紙の世論調査では2位の細川・小泉コンビに肉薄しているだけに、陣営スタッフも「必ず追い抜く」と気合がみなぎる。

 前回、2012年12月の都知事選は次点で、獲得したのは96万票と当選した猪瀬氏の4分の1以下。それがなぜ今回、大健闘しているのか。

 陣営幹部は三つの要因を挙げる。

「前回から1年1カ月しか経っていないので、みな宇都宮さんの名前を覚えてくれている。都政の課題も一度じっくり勉強しているので、他候補より深みのある政策を打ち出すことができた。二つ目は著名人の応援です。女優の木内みどりさんや歌手の石川セリさん、元外務官僚の孫崎享さんらが応援に来たりメッセージをくれるので、無党派層の支持が増えました。昨年の都議選、参院選で躍進した共産党が全力で支援してくれているのも大きい」

 確かに、今回の共産党の手厚い支援は目を見張る。告示日には志位和夫委員長が応援に駆けつけ、「弱い立場の人に寄り添ってきた宇都宮さんこそが最良・最善の候補者」と熱弁。約250人いる都議・市議・区議は連日、各地で決起集会を行う。党のアイドル吉良佳子参院議員(31)も演説、ビラ配り、ネット番組出演とフル回転だ。

 組織内候補ではない宇都宮氏に、なぜここまで力を注ぐのか?

「そりゃ、細川さんのバックにいる小泉さんを倒したいからですよ。首相時代、我々の意見に耳を傾けず、構造改革を進めて貧困と格差を拡大させた。何としても雪辱を果たしたい。今、向こう側にいる脱原発グループを次々と勧誘しています。『よく考えたら宇都宮さん』と言う人も出てきた。これからドンドンはがしていきますよ」(共産党幹部)

 小泉元首相については宇都宮氏も「年越し派遣村を生んだ元凶」と手厳しい。告示前、市民団体から脱原発候補の一本化のため出馬辞退を打診されたことも、怒りを増大させている。

「最後のカギは若者票だと思います。こちらは最終盤に、参院選で大活躍した音楽家に応援に入ってもらう予定です。効果は絶大だし、必ず突き放しますよ」(選対幹部)

 2位争いから最後まで目が離せない。

週刊朝日  2014年2月14日号