伊豆大島は山の津波「高濃度洪水流」が発生しやすい? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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伊豆大島は山の津波「高濃度洪水流」が発生しやすい?

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うずたかく積もった瓦礫を乗り越え、遺留品を探す人の姿も(撮影/写真部・馬場岳人)

うずたかく積もった瓦礫を乗り越え、遺留品を探す人の姿も(撮影/写真部・馬場岳人)

 台風26号が10月16日午前に伊豆大島(東京都大島町)を直撃し、土石流が発生した。人口8365人(9月末現在)の島に何が起き、なぜ起こったのか。

 伊豆大島は三原山をシンボルに栄えてきた。

 1986年の噴火で一時は町民が全島避難となったが、1カ月後には帰島。しばらくは観光客の減少に苦労したが、近年は火山特有の神秘的な自然を観光名所としたPRが功を奏し、再び活気を取り戻していた。

 だが、今度は伊豆大島火山で、大規模な土砂災害が発生してしまった。同島の地質に詳しい遠藤邦彦・日本大学名誉教授(火山地質学)は、こう解説する。

「伊豆大島の土壌は、火山噴出物の一種で『スコリア』という空隙が多くて軽い石と、サラサラした性質の火山灰を多く含んでいます。これらが地表面に堆積している急傾斜地は崩れやすい。それでも水はけがいいので、過去の台風では雨水がすぐにしみ込んで海に流れていました」

 ところが台風26号は、大島町に平年の10月降水量の2.5倍にあたる824ミリもの雨をもたらした。16日午前1時からの4時間は、いずれも1時間当たり90ミリを超えていた。土石流は午前2時ごろに発生したとされる。

「火山灰層の下には硬い溶岩があって、こちらは水を通しにくい。豪雨で大量の水を含んだ表層が、樹木を巻き込みながら溶岩の上を流れ下ったとみています」(遠藤氏)

 産業技術総合研究所の山元孝広総括研究主幹(火山学)は土砂崩れの起点となった一帯が、島内で最も崩れやすい地域だったと指摘する。

「日本の火山は、偏西風の影響で火山灰が東側に多く積もるので、火口西側が急傾斜になります。その上に14世紀の噴火による火山灰などが堆積したので、ほかの地域よりも急で不安定な斜面になっていました」

 悪条件はさらに重なった。前述のとおり、伊豆大島の土は、スコリアとサラサラした火山灰を多く含む。こういった土壌で起きる土砂崩れは、一般的な土石流と大きく異なるという。

「スコリアや伊豆大島の火山灰は粘度分が少なく、粒がそろっているので、雨水と混ざると液体と固体のあいだ、洪水と土石流の中間のような『高密度洪水流』になります」(山元氏)

 高密度洪水流は、スピードが土石流より速く、浅く、面状に広がる。今回の土砂崩れが広範囲に及んだのはこのためだ。さらに、

「内部に渦状の流れを持つのが特徴です。周辺の土や樹木を巻き込んで引きはがし、膨らんでいく。さながら『山の津波』です」(山元氏)

週刊朝日 2013年11月1日号


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