高さ訳3メートルの白い塀に囲まれ、船体上部の構造物がほぼ撤去された(2013年9月26日 撮影/写真部・馬場岳人)
高さ訳3メートルの白い塀に囲まれ、船体上部の構造物がほぼ撤去された(2013年9月26日 撮影/写真部・馬場岳人)

 全長60メートル、330トンの大型漁船「第18共徳丸」が震災の津波により打ち上げられた場所は、漁港からおよそ750メートルも離れた市街地。辺りが信じがたい光景に変貌した“あの時”からほぼ2年半となる9月9日、この船の解体が始まった。

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 気仙沼市は当初、震災遺構として保存をめざした。が、7月に市が実施した市民アンケートで「保存が望ましい」とする回答16.2%に対し、「保存の必要はない」が68.3%となったことを受け、断念。船主の意向も受け、解体に至った。作業を請け負うNPO法人「シップリサイクル室蘭」の理事長、清水一道・室蘭工業大教授が言う。

「共徳丸と書かれた浮輪や風向計などの備品を引き取って展示したいという問い合わせは受けています。震災遺構として対応できるよう、慎重に検討したい」

 一方で、記念撮影を目的とする見物客も増えたといわれる。

「住民の心情を逆なですることはあってはならない。解体が復興への一歩につながれば」

 10月下旬に作業は完了する。

週刊朝日 2013年10月25日号