「アベ相場」を覆っていた暗雲に、やっとのことで切れ目が見えてきた。そんななか、いよいよ「真打ち」が姿を現しつつある。はるか遠く中東から、巨額の資金を抱える「オイルマネー」がチャンスをうかがっているというのだ。

 オイルマネーが投資しそうな銘柄に先回りして投資しておけば儲けることができる。そんなおいしい方法はあるのか。実は、彼らの宗教にヒントがある。ペルシャ湾岸の産油国とは、すなわちイスラム教の国だ。

 イスラム教徒が行動の指針とするイスラム法(シャリア)では、豚肉、アルコール、ギャンブル、ポルノ、たばこ、金融などを取り扱う企業や個人との取引を禁じている。言ってしまえば、こうした企業の株を買ったり売ったりできないのだ。

「外国人部隊がほとんど運用しているとはいえ、現地の人もいる。イスラム法は投資行動に影響します」(国際開発センターの畑中美樹研究顧問)

 S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する「シャリア指数」では、イスラム法に抵触するモノを取り扱わない会社が33社厳選されている。イスラム国の投資家に向けた指数だ。

「銘柄選別においては、いちばん厳しいと言われているコンサルティング会社を通しています。イスラム法学者でつくる委員会の審査を経ているのです」(S&Pの牧野義之日本オフィス統括責任者)

 構成銘柄を見ると、医薬品が7銘柄、電気機器が6銘柄と断トツに多い。シャリア指数はこの1年間、日本株全体の動きに合わせて上がっているが、一歩遅いとも言える。先ほど紹介したように、あまりに急激な株高についていかなかったからだ。「真打ち」の出番は、まさにこれからだ。

週刊朝日  2013年7月5日号