5月23日に大暴落し、その後も乱高下が続く日本株。実は今回の暴落は、日本市場で巨額の資金を動かしていた海外ヘッジファンドが、利益確定のために売りに走ったことが大きな原因だされる。

 ここで主役が交代する。今度は欧米の生保や年金基金が中心となって買ってくるという。生保や年金基金は中長期にわたって安定的に運用する手法を好む。今回大幅に下がったことで、かえって割安だと思っている節もあるようだ。

「今回の売りに彼らはまったく参加していません。『だれが売っているんだ』と聞いてくるくらいです。そもそもアベノミクスの評価は落ちていません。『就任して半年の安倍晋三首相に失望するばかはいない』と言っています」(パルナッソス・インベストメントストラテジーズの宮島秀直チーフストラテジスト)

 欧米の中長期投資家はどんな銘柄を好むのか。銘柄分析に定評のある株式アナリストの本吉亮氏に聞いた。

「投資尺度としてROE(株主資本利益率)を重視する傾向があります。株主が投資した資金に対して、どれだけ利益を上げたかを測る指標です」

 海外企業は約20%なのに対して、日本企業は約5%と低く、このため最低でも8%は求められるという。本吉氏が「時価総額2千億円以上、東証1部上場」と限定し、そのなかからROEが高く好業績の30銘柄をピックアップしたところ、傾向は大きく三つにわかれた。

(1)カカクコムなどのIT系(2)いすゞ自動車などの自動車関連(3)サンドラッグなどの国内需要系

「特に注目しているのが、主力の『ハローキティ』を自前で展開するサンリオ、LTE(高速無線通信規格)向けの機器で世界シェアが高いアンリツです」

 相場が落ち着けば、中長期の投資家が腰を据えて日本株を買ってくるとみられる。それを先回りして買うというのも、ひとつの方法だろう。いずれにしても、投資は自己責任で。

週刊朝日 2013年6月14日号