認可か不認可かで揺れた、札幌保健医療大、秋田公立美術大、岡崎女子大(愛知県)の3大学と田中真紀子文科相(68)。世間から猛反発を食らい、野党から責め立てられ、9日に真紀子氏がおわびコメントを発表した。

 真紀子氏は騒動の間、こう語っていた。「規制緩和のあった2003年のあたりから、あのころにつくられた学校が不幸にして倒産をしたり、生徒数が少なかったり、枚挙にいとまがなくて、連日報道されている実態。明日から行く場所がなくなっている生徒さんを我々は責任を持って救済しなければならない」。

 大学が増えた背景について『危ない私立大学 残る私立大学』(朝日新書)の著者で教育問題研究家の木村誠氏が解説する。

「小泉内閣の『聖域なき構造改革』によって、さらに03年には設置基準さえ満たせば認可されるようになりました。厳しい事前の規制から、事後のチェックに変わった。これで新規参入がぐっと簡単になりました」

 短大や専門学校から大学への「昇格」が増えたのも大きいという。短大の数はピークだった96年の598から、12年には372へ減少。この間、大学は576から783に増えた。専門学校が私学助成金狙いで大学化するケースもあるという。ある大学関係者は言う。

「専門学校は私学助成金が出ない。カネ目当てで4年制大学になったところもありますよ。ただ、そういう大学の多くが赤字経営になっています」

 今回、真紀子氏が矛先を向けたのが、設置審だった。「日本の一番の問題は戦後六十数年間、設置審というところで、(委員は)90%が大学の学長、総長さんで、1年間に1回2時間を4回しか議論せずに決定してきている」。

 大学研究家の山内太地(たいじ)氏はこう言いきる。

「一人ひとりは学者とし実績のある方だと思いますが、審査はザル。その証拠に、今年度末までに解散命令が出る創造学園大学を認可したわけですから。開学前から課題だらけだったのに」

週刊朝日 2012年11月23日号