10月20日、美智子さまが78歳の誕生日を迎えた。昨年3月11日に東日本大震災が起きて以来、被災地に何度も訪問し、また直接、足を運べないときでも電話をかけてお見舞いを伝えたり、現地の様子を聞いたりしているという。

 元国際看護師協会会長でいまは高知県立大学長を務める南裕子さんも、そうした電話を受けた一人だ。

 南さんの携帯電話が鳴ったのは、震災翌日の昨年3月12日午後だった。美智子さまは電話口でこう尋ねたという。

災害ボランティアナースの始動状況は、どのような具合ですか」

 災害ボランティアナースとは、阪神・淡路大震災の経験から、南さんたちが組織を整えた看護師ボランティアのことだ。南さんは多くの看護師たちが現地に向かうべく準備を進めていることを伝え、美智子さまの問いかけに答えたという。

「皇后さまは被災地の状況について、全貌(ぜんぼう)がみえないもどかしさを感じておられるご様子でした」(南さん)

 南さんは阪神・淡路大震災以来、災害が起こるたびに、被災地の状況や看護師の支援活動を美智子さまに報告してきた。

「ファクスで資料をお送りすると、皇后さまからご質問のお電話をいただき、ときにはお会いしてご説明することもありました。どこの災害であっても、強く関心を寄せておられました」(同)

週刊朝日 2012年11月2日号