朝日新聞1面(7月21日付朝刊)で、東電の下請け会社の役員が昨年12月、福島第一原発(フクイチ)の現場で働く自社作業員に対し、線量計を鉛のカバーで覆うよう指示したとの報道があった。

 渦中の下請け会社「ビルドアップ」が契約を結んだ元請け企業「東京エネシス」は、東電を筆頭株主とし、東電御三家と称されるほど東電との結びつきが強い。

 関係者によると、東京エネシスの定める年間被曝上限は、昨年40ミリシーベルト、今年18ミリシーベルト。これを超えた作業員は来年4月まで作業に携われなくなるため、契約打ち切りを恐れたビルドアップの現場責任者が、偽装に手を染めたと考えられる。

 フクイチの作業員は、携帯電話ほどの大きさの線量計を防護服の下に着るシャツの胸ポケットに収めて作業する。厚さ7ミリの鉛で覆うと数値は半分になると報じられているが、フクイチで実際に作業員として働くジャーナリストの桐島瞬氏が試しに自作して現場で使用した鉛カバーでは、厚さ0.5ミリで約3割低くなった。製作費用は500円ほど。

 つまり、誰でも簡単に鉛ケースは作れる。偽装は可能でフクイチで働ける期間が長くなる、ということだ。

※週刊朝日 2012年8月3日号

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