少し前から、学生や若い社会人たちを「ゆとり世代」などと揶揄するような風潮が出てきた。しかし一方で、そんな世代の彼らだからこそ生み出せる斬新なアイディアもあるようだ。

 7月22日に行われた、学生による広告コンクール「アドフェス2012」では、まさにそうした若い世代ならではの斬新な広告アイディアが数多く披露された。学生が主体といっても、コンクールの課題提供にGoogleが参加し、大手企業とともに開催される本格的なイベントだ。それだけに、発表される内容もレベルが高い。

 コンクールでは、「Googleの提供するサービス、Google+の利用者を増やす」という課題に沿って、各大学の学内選考を勝ち抜いてきたチームが広告案を提示。プレゼンを行い、Googleの審査を経て優勝チームを決定する。

 10回目となった今回の優勝チームは法政大学の「かっとばせ!たかし!」班。名前こそサークルのようだが、プレゼン内容はなかなか考え込まれたものだった。Google+をサークル単位で使用することで活性化を図るというもので、新入生勧誘シーズンに使うことで、サークル側・新入生側互いに利便性を感じてもらったり、イメージキャラクターを使った奇抜なイベントを仕掛けることで認知の向上を図るなど、多方向へ向けた展開がよく練られていた。プレゼンを審査したGoogleの秋山有子さんは、「ストリームにどう人を巻き込んでいけばいいか、綿密に考えられたプランだった」と高く評価した。

 優勝チームでプレゼンターを務めた武山彩さんは、「尊敬する先輩に恵まれて、優勝できて本当にうれしい」とその喜びを語り、またチームリーダーの高橋なつ香さんは、「クライアントと消費者をアイディアでつなげたり、問題を解決したりすることはやりがいがあることだと改めて感じました」と大会を振り返った。

 このほかにも、一橋大学からは「アート」を軸に展開するものや、日本大学からは「恋愛」をテーマにしたプランなど、柔軟で奇抜なアイディアが光った。「ゆとり世代」の彼らだからこそ発信できる「ソフト」というものがあるのかもしれない。

週刊朝日

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