健康診断の結果で気がかりのひとつは、飲酒が影響する「尿酸値」だ。数値が高いと「痛風」に直結する。ところが同じ量を飲んでいても、痛風にならない人もいることがわかってきた。その違いは"腸"にあった。

 日本人男性の4人に1人が痛風予備軍(血清尿酸値7.0ミリグラム/デシリットル以上)で、実に60人に1人が一生のうちに痛風の関節炎を発症している。痛風の患者数は急増中で、1986年から2004年までの18年で3.4倍になったという(厚生労働省「国民生活基礎調査」から推計)。

 食生活を見直しても尿酸値がなかなか下がらないことがある。もしかしたらそれは"遺伝子"が原因かもしれない。

 東京薬科大学教授の市田公美医師はこう解説する。

「通常、食事からのプリン体摂取と細胞の新陳代謝などで、人体には1日約700ミリグラムの尿酸ができ、体内の尿酸は約1200ミリグラムになっています。しかし、入る尿酸が過剰、または排泄が不十分だと、『尿酸プール』があふれて痛風になるのです。尿酸は、3分の2は腎臓から尿に、残りの3分の1は腸管から大便に排泄されていますが、腸の大切さは注目されるようになったばかりです」

 加えて、市田医師らの研究で"腸"の更なる重要性が発見されたという。

「痛風患者の遺伝子を調べたところ、約8割の患者に『ABGC2』という遺伝子の変異が見られました。この遺伝子変異があると、尿酸を腸から排泄する機能が0縲鰀75%に低下し、痛風のリスクが3縲鰀26倍も高まってしまうのです」

※週刊朝日 2012年7月27日号