資金管理団体「陸山会」の土地購入資金4億 円を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢一郎・元民主党代表の無罪判決が言い渡された。裁判が進むにつれ、日本の政治をゆがめた検察の大罪が明るみになってきた。

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 今回の判決で明確になったことがある。小沢氏の土地取引や土地購入の原資となった4億円について、裁判所はこう認定したのだ。
〈(4億円の原資について小沢氏は)「かなり以前から、現金として保管していた個人資産である(中略)」旨、公判で供述している。この供述は、細部においてあいまいな点や捜査段階における供述との変遷がうかがわれるが、大筋においては、信用性を否定するに足りる証拠はない〉
 つまり、原資は「シロ」というのである。ある検察幹部が言う。
「正直、無罪判決よりも、この4億円の原資の認定のほうがキツい。この事件は4億円の中に水谷建設からのヤミ献金が入っている、という贈収賄が出発点。それを訴えるため、政治資金規正法違反という形式犯で現職の石川議員らまで逮捕したのに。検察の完敗だ」
 石川議員は、取り調べで吉田正喜特捜部副部長(当時)から言われたことが忘れられないという。
「たとえあなたが認めなくても検察審査会でクロになる」
 これこそ検察が、検察審査会を、自ら手を下すことなく被告人を法廷に引きずり出すための"最終兵器"だと捉えていた証左ではないか。
 無罪判決を受け、指定弁護士は9日にも控訴するかどうかを判断するという。しかし、小沢氏が高裁で再び「無罪」となったとき、だれがその責任を持つのか。
 いまメディアが真に疑惑の目を向け、説明責任を求めるべき相手は、小沢氏ではなく、検察のはずである。

※週刊朝日 2012年5月18日号