日本のすばる望遠鏡が今夏から新たな観測を始める。狙うのは見えない物質「暗黒物質」と見えないエネルギー「暗黒エネルギー」だ。両方で宇宙の96%を占めているにもかかわらず、正体は全く不明。この宇宙最大の謎に迫った。


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「暗黒」とは黒いという意味ではない。光を全く出さないことから、「正体不明」で「手も足も出ない」という意味。今、世界中の科学者が血眼になって正体に迫ろうとしている宇宙最大の謎だ。
 暗黒物質は、銀河や星を生んだもととされていて、もしこれがなければ渦巻き銀河はあっという間にその遠心力でばらばらになってしまう。それほど強い重力ですべてをつないでいながら、見ることも触ることもできない。実は、私たちが住む天の川銀河も巨大な暗黒物質の海の中に浮かんでいて、暗黒物質は私たちの周囲にもあるはずなのだが、いまだに見つからない。
 一方の暗黒エネルギーは、さらに分からない。暗黒物質とは逆にすべてを引き裂く、宇宙の膨張のもとだと言われている。宇宙が膨張すると暗黒物質は薄まるが、暗黒エネルギーは薄まらない。宇宙誕生以来、一定の強さを保っているとされている。まるでお化けのようなエネルギーなのだ。
※週刊朝日 2012年5月4・11日号


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