昨年、3月末時点で運用委託をしていた企業年金84で、88万人に影響を及ぼしたとされるAIJ投資顧問。その被害拡大に一役買った格好になったのは厚労省OBだと、証券業界関係者は語る。

「AIJには、社保庁OBの『広告塔』が複数いるとの情報もあります。一人では全国を営業できませんからね」(証券業界関係者)

 2005年からAIJに運用を委託していた中部地方の厚生年金基金でも、常務理事は厚労省、特に地元の旧社会保険事務所のOBの「指定席」だ。6~8年間、65~66歳ぐらいまで勤め、次のOBと交代するそうだ。

「地方の基金の常務理事は、地元の社会保険事務所の所長さんというのが相場です」(この基金の幹部)

 基金では理事のなかから、積立金の管理や運用の実務を担う運用執行理事や、事務局を束ねる常務理事が選ばれる。運用執行理事と常務理事が兼務する例が多く、このポストが厚労省の「住み家」となる傾向のようだ。

※週刊朝日 2012年3月16日号