見る前に知っておきたい パンダトリビア20 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

見る前に知っておきたい パンダトリビア20

このエントリーをはてなブックマークに追加
吉田洋平週刊朝日#中国#北朝鮮

食費は一日1万円強!

 3年ぶりに東京・上野動物園に帰ってきたパンダの公開が始まった。オスのリーリーとメスのシンシン。みんなが知っているパンダだけれど、意外に知らない一面もある。動物園に出かける前に、パンダのウンチクを蓄えて、家族や恋人に披露してみてはいかが?

(1)パンダは地元ではパンダではない
 パンダという名前は「竹を食べるもの」という意味のネパール語が語源。これは日本や英語圏での呼び名で、地元の中国では「熊猫(シェン・マオ)」と呼ばれる。

(2)株を奪われた兄貴分
 もともと「パンダ」と呼ばれていた動物はレッサーパンダだった。20世紀初めごろ、白黒の大熊が竹を食べるとわかり、こちらを「ジャイアント(大きな)パンダ」、もともとのパンダを「レッサー(小さな)パンダ」と区別した。だが、ジャイアントが有名になり、人気も出ると、パンダといえば、もっぱら弟分を指すようになった。

(3)パンダの主食はなぜ竹か?
 2500万年以上前に現れた、パンダの最初の祖先といわれる「シバナズア」は雑食だった。その後、さまざまな祖先が現れたが、生存競争を生き抜いたのは山奥で竹の葉や笹を食べていた種類だったらしい。現在も食べ物の99%は竹だ。

(4)ひたすら食べ、ひたすら出す
 竹は栄養分が少なく消化されにくいので、たくさん食べる必要がある。しかもパンダはもともと雑食性で、腸は短く草食に適さない。一日に15キロ以上食べるが、約80%は消化されない。そのため、一日に14時間も食事をする。そして食べた10時間後には竹が未消化で排泄されるため、歩きながらでもフンをしている。

(5)前足の指は6本ある?
 パンダは前足で器用に竹を持って食べる。この足には5本の指に加え、もうひとつ、指のような突起がある。手首の「種子骨」という骨が発達し、飛び出たもの。この「指」や「副手根骨」という骨が支えになり、竹をしっかり握って食べることができる。

(6)パンダも木から落ちる
 寿命は飼育下では30年以上にもなるが、野生では20年前後。行動範囲は5キロほどで縄張りは持たない。木登りは得意だが、下りるのは苦手でよく落ちる。

(7)恋の季節はとっても短い
 オス、メスともに普段は単独で暮らし、発情は年1回。しかもメスの受精可能時間は短く、繁殖は非常に難しい。

(8)意外に凶暴な一面も...
 動物園の飼育係や観光客が襲われる事件も何件か起きているが、ストレスが原因と考えられている。いつも注目されるためか?

(9)発見したのはフランス人
 中国の古い記録には「白熊」と紹介されているが、一般にその存在は知られていなかった。生息地近くの住人たちも、単なるクマの一種と考えていたという。
 1869年にフランス人のダビッド神父が、四川省の山奥で毛皮を発見。翌年フランスに持ち帰って調べたところ、クマと同じ種類ではないと判明した。

(10)最初の飼育はアメリカで
 1936年、アメリカ人のルース・ハークネス夫人が赤ん坊のパンダを母国に持ち帰った。このパンダは翌年、シカゴの動物園に引き取られ、動物園で飼育された初のパンダとなった。

(11)外交デビューもアメリカ
 日中戦争中の1941年、中国国民党の指導者・蒋介石の妻、宋美齢夫人が、アメリカのブロンクス動物園に2頭のパンダを寄贈したのがパンダ外交の初め。アメリカの政策を中国有利に導く狙いといわれる。

(12)北朝鮮に消えたパンダ
 1965年6月、中国は北朝鮮・平壌にある中央動物園にペアのパンダを贈呈した。また、71年10月にも再度、同動物園にペアの贈呈が行われたが、北朝鮮がその後繁殖に成功した形跡はない。

(13)本当に絶滅危機なの?
 中国政府は野生のジャイアントパンダの数を約1600頭と発表している。国際自然保護連合でも「絶滅危機」ランクに分類される。しかし、海外の専門家たちには「過少発表では」との声がある。パンダの数が増えれば、保護のための研究資金が必要だという大義名分が立たなくなるからでは、という見方だ。

(14)パンダと台湾の微妙な関係
 ワシントン条約によって1984年以降、パンダの国外への寄贈は禁止された。だが、国内移動はできる。中国は、「自国の一部」と見なす台湾に「パンダ贈呈」を申し出たが、台湾は拒否してきた。
 しかし08年、台湾に中国との関係強化に積極的な馬英九政権が成立すると、同年12月に2頭のパンダを受け入れた。両政府が協力し、国外とも国内とも解釈できる体裁で移動させた。

(15)日本は出稼ぎのお得意さま
 1972年、日本に初来日し、上野動物園の人気者になったランランとカンカンから、82年来日のフェイフェイまでは中国からの寄贈だったが、今回のリーリーとシンシンは10年間の「貸与」。東京都と中国野生動物保護協会が共同で進める繁殖研究プロジェクトという位置づけで、都は保護協力資金として年間95万ドル(約8千万円)を同協会に支払う。
 日本ではほかに、神戸市立王子動物園が年50万ドルで1頭を借りている。和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドにも8頭がいるが、額は公表されていない。

(16)イギリスでは反対運動も
 イギリスにも今秋、2頭のパンダが貸与されるが、動物保護団体が「中国がパンダを貸与するのは動物搾取にあたる」と非難している。英メディアも「パンダの飼育には英国人の血税が大量に使われる」と批判的な報道を展開した。

(17)レンタル料以外にもお金はかかる
 上野動物園では、今回のパンダ受け入れのため、パンダ舎を改修した。コンセプトは「より自然に近い状態に」。タイル張りだった床を土のように見えるモルタルに変え、プールも大きく、深くした。費用は総額9千万円。ちなみに一日の食費は1万円強。

(18)名前の商標登録は済んだ?
「ランラン」と「カンカン」は、上野動物園の知らぬ間に商標登録されていて、動物園はこの固有名詞を商品につけることができなかった。その教訓を生かし、86年に生まれたトントンから後は、名称発表の前に商標登録するようになった。

(19)赤ちゃんが誕生しても...
パンダペアには2世誕生が期待されるが、生まれて2年後に、子どもは中国へ返すことになっている。

(20)妊娠の判定は超難しい
 2004年、上野動物園のシュアンシュアンが人工授精後に食欲が旺盛になるなど過去の妊娠時と同様の兆候がみられた。期待が高まったが妊娠ではなかった。このようにパンダの"疑似妊娠"はままあるが、原因はよくわかっていない。そもそも妊娠したかどうか、出産するまでわからないこともあるという。

週刊朝日


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい