保護責任者遺棄致死罪と麻薬取締法違反(譲り受け、譲渡、所持)の罪に当たるとして検察側が懲役6年を求刑したのに対し、判決では犯罪事実による「致死」は認めず、刑の軽い保護責任者遺棄罪に当たると認定した。「押尾被告の供述の信用性には相当に疑問があると言わざるをえない」として、検察側と対立する証言はほとんど認められなかった。

 押尾被告は13日の被告人質問で、麻薬取締法違反(使用)の罪に問われた昨年秋の法廷でウソをついていたとアッサリ認めた。

 昨年の法廷では、事件以前に日本で合成麻薬MDMAを使ったことは一度もないと語っていた。国内で薬物を購入したこともなく、事件当日に飲んだMDMAは1錠だけ。死亡した田中香織さん(当時30)の薬物使用を「止めたこともある」とまで饒舌に話した。

 だが、今回は、入手元の泉田勇介受刑者(32)から3度にわたって薬物を譲り受け、田中さんに居酒屋で「次はクスリ使ってしよう」と言われて2度目のセックスからお互い持ち寄ったMDMAを服用したと言い、事件当日も自ら5錠を飲んだと白状したのだ。

「今回は何事も隠していません」

 と語る押尾被告に対し、裁判長はこう問いかけた。

──前回と何が違うの?

 やはり、置かれている立場が違います。

──どう違う?

 なんていうんですかね、あの、前回の公判は逃げたい自分がいました。今回はこんな大きなことになって。

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