猪瀬副知事が明かした本音 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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猪瀬副知事が明かした本音

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■統合すれば企業価値は2倍

──今回の経営統合案は、都営地下鉄の1兆円を超す債務を東京メトロに押しつけるものだ、との批判が出ています。

 それは、東京メトロが民間会社だと勘違いしている人の意見だ。東京メトロはまだ株式の53・4%を国が、46・6%を東京都が持っている特殊会社。都営地下鉄と同じ公営地下鉄なのだから、両者を統合してから民営化したほうが、価値は高まる。
 都営のほうの債務が多いのは、東京メトロより後から地下鉄事業に参入したからにすぎない。今の収益性はほとんど変わらない。

──東京メトロは早期の完全民営化を目指しています。それをやめて都営との一体化を目指すのは、民営化路線に逆行しているように見えます。

 経営統合後に民営化するのだから、逆行はしていない。むしろ、このまま東京メトロだけ民営化すれば、税金で造った公共交通機関が私物化されてしまう。利用者はもう何も言えなくなる。これでいいのか、疑問を持っている人は多いと思う。
 そもそも、山手線の内側は、誰が鉄道を経営してももうかる金城湯池だった。だから私鉄は入れなかった。そこを走る地下鉄は、金城湯池を手に入れる代わりに、その収益でトンネルを掘って社会貢献せよ、ということで、国と東京都が特別な免許を与えられ、分担してきた。
 こうした歴史的な経緯を踏まえれば、公共インフラである東京メトロが都心のビル開発などの不動産業で収益を増やしていいのか。そんな安易な収益で社員の給料だけが上がるのはおかしい。
 この問題は僕が道路公団改革をしていた2001年に出た特殊法人等整理合理化計画のなかで、営団地下鉄を東京メトロに民営化することが決まったときから気づいていた。東京メトロはただの金持ち会社になってしまうと心配したが、当時は道路公団改革でいっぱいで手が回らなかった。

──統合後にできる新たな地下鉄会社は、どんなかたちを想定していますか?

 統合の方法はいくつか考えられる。具体的には近く、私が集めた専門家チームを発足させて試案を出す。新会社には料金値下げと、都営地下鉄の債務の返済という重いリュックサックを背負わせることになる。そのためにも、返済スケジュールまで決めて、効率的な経営をやらせる。

──東京メトロの筆頭株主である財務省は法律を盾に、東京メトロ単独の完全民営化を進めようとしています。

 東京メトロのまま上場すると、株の売却益で国に入るのは約2千億円だが、都営地下鉄のネットワークを加えて、しかもより効率的な民間会社になれば、倍の価格で売れるだろう。財務省幹部に説明したら「今日の2千億円よりも明日の4千億円ということですね」と理解を示した。
 もし国が東京メトロの株売却を強行するなら、都が真っ先に買う。あと4%買い足して筆頭株主になり、東京メトロを吸収するよ。

──実現には法改正を含めて、かなりの時間がかかりそうです。来春には都知事選がありますが、知事となってやり遂げることもありえますか?

 そんな気持ちは全然ない。年内に形をつくって、誰が引き継いでも大丈夫なものにしたい。

──でも、知事選ではとてもいい争点になりそうです。

 そんなことを考えて始めたわけじゃない。(笑い)

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