年配の方が買ってくださるのは、今とは逆に、若い時に情報が少なかったからかもしれません。そういう方はもちろん、AVやマニュアル本で勘違いしている男性や、自分の体を知らない女性に読んでもらいたくて、基本的なことだけを本に書きました。紹介したテクニックは、原則として医学的根拠に基づいています。

 例えば「女性器を愛撫する時、片方の手の人さし指と中指で小陰唇を開く」というのは、小陰唇が指に引っ張られて膣内に巻き込まれるのを防ぐ診察のテクニックなんですよ。

 マニュアル本には「気持ちいいスポット」がいくつも紹介されていますが、多くは意味のない場所です。例えば、アダム徳永さんの言う「AGスポット」は、「恥骨の裏」ということですが、そんな所に神経はありませんから、強くこすりつけられても痛いだけでしょう。しかも「手の角度は何度で何センチ間隔で動かせ」なんて疑問です。性器は人それぞれ違うのですから、みんなが同じように感じるとは思えません。

 あと気になるのは、最近よく紹介されている「新体位」。「背面M脚騎乗位」や足を絡めるような正常位など、アクロバティックな体位ばかりですが、女性が快楽に集中できないような、つらく無理のある体位をこなすのは、男性のエゴでしかありません。

 男性誌によくある「腰を入れて『の』の字に回す」なんてのも論外です。ペニスの根元を回転させても先端はほとんど動かないため、意味がありません。

 でも男の人って、より細かいマニュアルが好きみたいですね。それらで懸命に勉強している男性は、女性を満足させたいというより、女性をイカせることが自分の満足になっているタイプではないでしょうか。本当に女性に満足してほしいなら、マニュアル本ではなく彼女に聞いてください。

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