冬至を越えて「一陽来復」太陽は復活を遂げましたが、寒さはこれからが厳しくなっていきます。年の瀬から新しい年へと移り変わるこの時季は日々せかされがちですが、イルミネーションが輝き、クリスマスの飾り付けの華やかな街をみると心が浮き立ちます。旧暦の頃とは違う現代の12月は誰でもちょっと忙しい! 残り少ない毎日を充実させて健やかに過ごす工夫を考えてみませんか? やることがいっぱいだからこそ、楽しみながら過ごすことが大事ですよね。

多摩センター・イルミネーション
多摩センター・イルミネーション

冬は真ん中、お風呂を楽しんで癒されよう!

柚子湯は楽しまれましたでしょうか? ことわざに「冬至、冬中(ふゆなか)、冬はじめ」があります。暦の上では冬の真ん中ですが、1月から2月へと本格的な寒さはこれから始まります、という意味です。寒さにしっかりと立ち向かっていくためにも、冬至の柚子湯は血行をよくして風邪予防にも役立ちます。

温度差のある熱いお風呂にいきなり入るのはもちろん身体によくありません。お風呂場を暖めておくことも大切です。身体を温め手足の隅々まで血液がめぐっていくのを実感できるくらいゆっくりと湯舟につかることができればいいですね。湯上がりの身体には保湿対策をしっかりとしておきましょう。柔らかく瑞々しい肌に乳液やクリームを優しくすり込んでください。マッサージ効果でよりリラックスできれば、ぐっすりと眠ることができるでしょう。

お風呂時間を楽しむといえば、バスソルトやバスバブル、各地の有名温泉の入浴剤が手軽です。シュワシュワと肌にまといつく泡の心地良さは一日の疲れを静かに取りさってくれ、ゆったり吸い込む香りにはホッと疲れた脳も癒されるようです。ドラッグストアやセレクトショップであなたのお気に入りのお風呂のお供を見つけておきませんか? ただでさえ忙しいこの時季、そして寒い冬を身体を温めて乗り切っていきましょう。

日本らしさをもって取り入れた「聖」なるクリスマス

今年のクリスマスは週末に重なります。多くの方が家族や親しい人たちとのお楽しみを考えていらっしゃることでしょう。もともとはキリストの誕生をお祝いする日。キリスト教とはあまり馴染みのない人々にとっても、華やかな中に厳かで温かな真心を感じるヨーロッパやアメリカでのクリスマスの情景には心を惹かれるものです。

クリスマスイブは日本語では「聖夜」、クリスマスツリーは「聖樹」そしてクリスマスケーキは「聖菓」と訳されて季語にもなっています。

《聖夜更く地はいくさ無き灯にあふれ》 松本幹雄

相撲部屋小さき聖樹の灯りたる》 鈴木綾子

《聖菓切る刃先に子の目集つて》 高木瓔子

日本ならではのクリスマスが「聖」の字から伝わってきます。またクリスマスが日本にしっかりと根を下ろしている行事だということも感じられますね。

クリスマスの季節を彩るのが「ポインセチア」。真っ赤な花びらのように見えるのは苞(ほう)と呼ばれる葉で、芽やつぼみを保護しています。花は真ん中に見える蕊のような黄色の部分ということです。赤はキリストの血を表す(※諸説あり)ことからクリスマスには赤を飾る習慣があるとのこと。下の葉の緑とのコントラストが際立ち「クリスマスフラワー」として長く人々に親しまれています。

《ポインセチア真つ赤をもつて祝福す》 山崎ひさを

鉢植えひとつでも「聖夜」を祝う心を表せます。ささやかですがこんなクリスマスも素敵かもしれません。

「数え日」年末にむかって一日を大切に

クリスマスが過ぎればもう一気に年末へと向かってカウントダウンが始まります。やり忘れたことはないかしら? はやくお正月の支度に手をつけなければと、やることリストに心も身体も振りまわされがちになってしまいます。
そんな時は立ち止まって、しっかりと深呼吸。冬休みのお子さんをほったらかして寂しい思いをさせていませんか? 美容院に行くのを先延ばしにしていませんか? そうそう頼まれごともありました。素敵な新年を迎えるためにも心には少し余裕を持つことを心がけておきましょう。

年の暮れになり残り少なくなった日にちを「数え日」といいます。今年ももうあと何日、と思わず数えてしまうからでしょう。急く心と一年を振りかえる気持ち、新しい年への期待など微妙な心もちがあれこれと含まれていて、見逃せないことばです。

《数へ日となりたるおでん煮ゆるかな》 久保田万太郎

《数へ日の閂(かんぬき)ゆるき父母の家》 辻美奈子

今しかないこの時に誰を思い、何を考えるか?「数え日」にいるからこそ、生きていることの愛おしさを実感できるのかもしれません。「数え日」は駆け抜けてはもったいない! 一日一日を心に刻むように生活してみませんか。