北海道や高山ではすでに紅葉が見ごろを迎え、紅葉シーズン到来です。気温も落ち着き過ごしやすい時期なので、登山だけでなくアウトドアを楽しむ方も多いのではないでしょうか。関東や低山ではこれから紅葉の見ごろを迎えます。天気や持ち物について注意点やポイントをおさえ、紅葉シーズンの登山を安全に楽しみましょう。

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で外出の自粛を呼び掛けている自治体がある場合は、各自治体の指示に従いましょう。

秋山登山

夏の1500メートル以下の山は、気温が高く登山向きではありませんでしたが、秋は気温も落ち着くため、低山登山におすすめのシーズンです。また、登山初心者もアクセスしやすい東京の奥多摩では例年10月中旬ごろに、神奈川の丹沢では11月上旬ごろに紅葉の見ごろを迎えます。紅葉だけでなく、キノコや木の実なども登山中に発見することができるので、ゆっくりと観察しながら秋を感じてみてください。

秋山の天候と注意点

過ごしやすい時期ではありますが、注意点がいくつかあります。

■日没時間

「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」というように、秋の日没時間には注意が必要です。例えば東京の場合、今年9月1日の日の入り時刻は18:08ですが、10月1日は17:25、11月1日は16:46であり、1か月で30分以上早まっています。(国立天文台HPより)山の中では日が届きにくく、いつも以上に日が短く感じます。早めの行動を心がけ、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。また日帰り登山だとしても、ヘッドライトの装備が必要です。

■台風

秋は、真夏に比べて太平洋高気圧の勢力が弱く、偏西風が日本の近くに南下することにより、台風が接近しやすくなります。

2006年10月に起きた白馬岳遭難事故は、「台風が運んできた熱帯の暖かく湿った空気により南岸低気圧が急激に発達して、冬型の気圧配置が吹雪をもたらした」ことが原因であると言われています。このとき中部山岳の北部は大荒れの天気となり、数名の方が低体温症で亡くなりました。

このように、台風から温帯低気圧に変わったあとや、台風が過ぎた後でも影響が続くことがあります。強風や寒気だけでなく、倒木などの恐れもあるので、自治体や登山口の情報を確認するようにしましょう。

■秋山は冬山

山の季節の進みは早く、秋といっても冬山の装備が必要な山もあります。北海道の大雪山では9月下旬、北アルプスなど標高の高い山では10月上旬に初冠雪が観測されます。平地ではまだ秋の過ごしやすい気候ですが、高い山の上では冬が始まっているので、軽装ではなく冬の装備が必要です。また前述した通り、台風の影響によりまるで真冬の山のように吹雪くこともあります。

持ち物と服装

■持ち物

①ザック:バーナーなどを持っていく場合は20L以上の大きさがおすすめです。調理しない場合はそれより小さいアタックザック等でも大丈夫です。

②ヘッドライト:電池の予備もしくは充電も忘れずに。

③水・食料:行動食や昼ごはん。工程に余裕がある場合、鍋やホットサンドなど簡単なものを調理して食べるときもあります。火にかける手前まで準備していくと、山頂での調理時間を短縮できます。上の写真の時は鍋を持参しましたが、あらかじめ材料を鍋に詰め、肉は下茹でしていきました。荷物は多くなりますが、山の上の食事は最高です。

④地図やコンパス、GPS付きの時計など:事前にルートの確認を行いましょう。

⑤救急道具:絆創膏、消毒液、エマージェンシーシートなど。

⑤ゴミ袋:チャック付きだと、調理時に出た水分などが漏れず安心です。

■服装

①ベースレイヤー:薄手の長袖など。動くと汗ばむ季節ですが、山頂で止まっていると冷えてくるので、メリノウールなどの保温性と速乾性に優れた素材がおすすめです。肌に触れるので、肌触りが心地よいものを選んでください。夏は薄い衣服の上にTシャツを重ねて着ています(①’)。

②ミドルレイヤー:脱ぎ着がしやすい前開きのもの。アウトドアシャツや薄手のフリースなど保温性があるものがおすすめです。

➂アウターレイヤー:防寒性、防風性、防水性があるものです。また透湿性もあるものだと汗をかいても快適に過ごせます。レインウェアは下も毎回持っていきます(➂’)。

④パンツ:速乾性、伸縮性があるもの。海外のハイカーは半ズボンの方が多いですが、枝などの障害物で足を擦ってしまうこともあるので、個人的には長ズボンがおすすめです。また、ブヨなどの刺されると恐ろしく痛痒い虫も秋はまだ活動中なので、肌の露出は控えたほうが無難です。

⑤その他:帽子、サングラス、手袋など。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、なかなか登山に行けていなかった方も多いかと思います。登山の前に、久しぶりに使う道具が劣化していないか、必ず確認してください。

秋山の天気と持ち物についてポイントを押さえ、安全に紅葉を楽しみましょう。