悪妻…何故記念日があるのでしょう。記念日の由来となったソクラテスの妻・クサンティッペを含め世界三大悪妻が存在するのはご存知ですか?今回、調べているうちに、「悪妻」の独特な存在感に気づかされました。彼女たちはただ傍若無人な振る舞いをしていただけかもしれませんが、知らず知らずのうちに夫の才能を引き出していたようです。太古の時代から人々の興味を魅きつけてやまなかった魅力が「悪妻」にはあったようです。だから記念日も存在するのかもしれませんね。ゴールデンウィーク前半は全国的に気温の変化が激しいとの予報。激しい性格のイメージを持つ「悪妻」について考えてみました。

天才・偉人の陰に悪妻あり、世界三大悪妻

⚫︎ソクラテスの妻・クサンティッペ
「人前で夫を罵倒し頭から水を浴びせたり、現在過去未来、これほど耐え難い女はいないだろう」
と評されてしまった、ギリシャの哲学者・ソクラテスの妻・クサンティッペ。上記はソクラテスの弟子・クセノフォンの著書の中の一文だそう。なかなかのエキセントリックぶりですね。ただソクラテスは、このクサンティッペの悪妻ぶりを彼独自の考え方でプラスに転じていたようです。よい妻を持てば幸せになれるが、悪い妻を持てば私のように哲学者になれる…。そして、「そんなにひどい妻ならなぜ別れないのか?」と言われても「クサンティッペとうまくやっていければ、他の誰とでもうまくやっていける」と答えたとか。さすがソクラテス、夫婦哲学も独特ですね。でもまわりに何を言われてもクサンティッペと添い遂げたソクラテス。そこには深い愛情があったのは間違いなさそうです。
⚫︎モーツァルトの妻・コンスタンツェ
浪費家で、家事をまったくしなかったと言われているコンスタンツェ。又、モーツァルトの楽譜を売却していたとも言われ、「悪妻」という評判が広まっていったようです。モーツァルトの死後に別の人と再婚した事も、悪妻と呼ばれる要因になったようです。しかし、後に実は彼女は教養が高く家事もしっかりこなしていたという説もでてきたそうです。それは彼女と思われる肖像画から。その肖像画に描かれた彼女は質素な服装で浪費家とは判断しがたいのでは…と思われたからとか。もしかしたら悪妻ではなかったのかもしれません。今となっては真実は知る由もないですが、モーツァルトの死後再婚した事や楽譜を売ったなどという事だけで、当時は「悪妻」と呼ばれてしまったのかもしれませんね。今では考えられませんが。
⚫︎トルストイの妻・ソフィア
ロシアの偉大な文豪・トルストイの妻・ソフィア。子供たちを共に育てあげしっかり家庭を築いたトルストイとソフィア。何故、「悪妻」と呼ばれるようになったのでしょう。晩年、トルストイが文学から離れて、宗教活動などをするようになってからは、理想を求めるようになった夫と、現実的な生活をしたい妻の間で軋轢が生じるように。夫婦喧嘩が絶えなくなり、ついにトルストイは家出を。
その後、アスターポポという駅でトルストイは肺炎で亡くなったと言われています。財産を貧しい人に与えたいと理想に燃えたトルストイ。それに反し財産を守るため版権を取得するのに奔走したソフィア。そんな対立に耐えられなかったトルストイが家を出たと言われています。そんな晩年のいざこざが彼女が「悪妻」と呼ばれる要因になったようです。

悪妻たちは、彼らの創作の原動力になっていたかもしれませんね
悪妻たちは、彼らの創作の原動力になっていたかもしれませんね

映画化された作品で検証してみましょう

彼らが生きた紀元前、そして18世紀〜19世紀。まだ当時は映画やテレビのスターなどが存在しない時代。もちろんSNS、パパラッチも存在しません。当時のセレブ・哲学者、音楽家、作家だった彼らが格好のゴシップのネタだったのかもしれませんね。彼らの妻たちが本当に「悪妻」だったのかは今となっては知るすべもなく、ただ家事をしない、多少エキセントリックだった、というだけで「悪妻」呼ばわりされてはたまったものではありません。
きっと当時大人気だった彼らを語る時、彼らの妻を「愛すべき悪妻」として人々は楽しんでいたのかもしれませんね。
そんな大人気だった彼ら、伝記がもちろん映画化されています。
⚫︎「アマデウス」
1984年公開。天真爛漫なアマデウス・モーツァルトと皇帝作曲家アントニオ・サリエリの関係を中心に描いた作品で、アカデミー賞の作品賞・監督賞・主演男優賞など8部門を受賞。コンスタンツェには全くスポットは当たっていませんが、当時の雰囲気やモーツァルト本人の描かれ方で、コンスタンツェの存在を想像できそうです。
⚫︎「終着駅 トルストイ最後の旅」
2009年公開。共にオスカー俳優のとクリストファー・プラマーとヘレン・ミレンがトルストイ夫婦を演じた作品です。この作品でも共に、アカデミー賞にノミネートされた二人の演技が見所です。
大型連休中の合間、のんびりご自宅で映画観賞のご予定がある方、ぜひ候補の一本に…歴史に翻弄された「悪妻」について思いを馳せてみませんか。