立夏を過ぎ、少し蒸し暑さを感じる日も出てきましたね。これからの季節は食欲が落ちる……、冷たい麺類ばかり食べてしまう……といった方が増えますが、みなさんはいかがですか?
食欲が落ちた時や、料理をあと少し華やかにしたい時、日本人が昔から親しんできた食の知恵といえば「薬味」。中でも「しそ」は特有の爽やかな香りと鮮やかな色、また加工範囲の広さもあり、みなさんの食卓にもおなじみの食材ですよね。これから旬をむかえる「しそ」について、あらためてその魅力をひもといてみましょう。

“お刺身のお供”でもおなじみの「しそ」
“お刺身のお供”でもおなじみの「しそ」

「しそ」にも種類があります

「しそ」は漢字で「紫蘇」と書きます。これは、“昔々、ひどい食あたりで死にかけている少年に、紫色の薬(=しその葉の煮汁)を飲ませたところ、見事蘇った”という中国の昔話がもとになった、という説からきているとされます。
中国では、しそは古くから薬草として用いられ、日本にも伝えられました。平安時代にはしその栽培が始まっていたようです。ひとくちに「しそ」と言っても、現在私たちが食用にしているしそには、いくつか種類があるんですよ。
■青じそ※いわゆる「大葉」のこと
葉は緑色。ふちがギザギザしていて全体的に丸みを帯びています。強い香りが特徴で、「青じそドレッシング」としてもおなじみですね。お刺身などの添え物や天ぷら、パスタ、餃子、鶏肉や白身魚に挟んでフライにするなど、幅広い料理に使われます。
■赤じそ
葉は赤紫色をしていますが、片面だけが赤紫色、もう片面が青色のものもあります(=片面じそ)。鮮やかな色を活かして梅干しの色づけにも利用されます。ふりかけの「ゆかり」も赤じそが原料です。
■芽じそ
しその発芽後間引いた若い芽のこと。主に青じそは双葉を(=「青芽(あおめ)」)、赤じそは本葉が2枚くらいの時のものを(=「紫芽(むらめ)」料理に使います。お刺身のツマはもちろん、そば、うどん、そうめんなどの薬味や、焼肉のタレに入れることもあるそう。
■花穂(かすい)じそ
しその花穂(かすい)が開花し始めた時に摘んで、その美しい淡紫色を活かしてお刺身のツマや天ぷらに使います。
■穂じそ
花穂の花の後に実をつけたものを「穂じそ」や「束穂(たばほ)」といいます。こちらもお刺身に添え、実をしごいて醤油に加え香りづけに使います。
しその実は「こき穂」とも呼ばれ、しょうゆ漬けや佃煮、福神漬けなどにも利用される他、乾燥させて七味とうがらしの材料にもなっています。
このようにしそは、利用する部分や状態によって呼び方が異なり、用途もさまざま……というわけです。

「花穂じそ」……可憐な薄紫色の花が、料理をランクアップ!
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「しそ」って体にいいの!?

その香りと口に含んだ時の清涼感から、なんとなく「しそって体によさそう」という気がしますが、栄養成分的にはどうなのでしょうか。
しそはβ‐カロテンやビタミン、カルシウム、カリウムなどの栄養素を多く含みます。特にβ-カロテンは野菜の中でもトップクラスの含有量。β-カロテンには強い抗酸化作用があり、ヒトの粘膜や皮膚、免疫機能を正常に保つ働きや、視力の維持に必要な成分でもあります。
また、しその独特の香りは「ペリルアルデヒド」という成分に由来するもので、食欲増進や抗菌効果があるといわれています。しそがお刺身のツマに利用されるのは、この抗菌効果を期待して、というわけです。細かく刻むことでより抗菌効果が高まるともいわれていますから、これからの季節、お弁当のご飯に刻んだしそを混ぜるのもよいですね。
また昨今、しそに含まれている「ロズマリン酸」という成分が注目を集めています。「ロズマリン酸」はポリフェノールの一種で赤じそに多く含まれており、花粉症などのアレルギー疾患に効果があることがわかっているのです。
アレルギー症状の緩和を期待するなら、一度にたくさんのしそを摂取したいところ。そこで、「しそジュース」のレシピをご紹介しましょう!
【材料】赤じその葉400g、三温糖1kg、米酢500cc、水2l
■手順1.赤じその葉をよく洗い、大きな鍋に水2lを入れて沸騰させる
■手順2.鍋に赤じその葉を入れて中火で5分程度煮る
■手順3.煮汁を漉し、葉を取り除いた汁を再び鍋に入れ、三温糖を加えて火にかける
■手順4.よくかき混ぜ、三温糖が溶け切ったら火を止める
■手順5.十分に冷めたら米酢を加えてかき混ぜる
■手順6.熱湯消毒した瓶にしそジュースを詰め、冷蔵庫へ
―― できあがったしそジュースは、ソーダ水などで割りレモンを少し絞って飲むのがおススメ!
さっぱりと喉を潤すしそジュースで、体調を崩しやすいこれからの季節も健やかにお過ごしください!

アレルギー症状の緩和も期待できる!「しそジュース」
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