気ぜわしい年の瀬でも、ぽかっと空いた時間ができることがあります。
そんな時、寄席にふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょう。
最近は、人気ドラマの重要人物を演じたり、長寿人気番組の名司会など、マルチな活躍をする噺家さんが登場し、あらためて落語に興味を抱く人が増えているよう。
でも「落語ってよくわからない」と思っている人も心配無用!  何のことはありません。寄席の日時を調べて、木戸銭(入場料)を払って入ればいいだけのこと。
東京の寄席をご紹介しましょう。

多方面で活躍する落語家さんの影響か、最近、静かな落語ブームが起きているよう
多方面で活躍する落語家さんの影響か、最近、静かな落語ブームが起きているよう

ゆる~くて、心あたたまる粋な空間

東京には現在噺家(はなしか=落語家)さんが数百人もいるということで、毎日どこかで落語の会が開かれています。
インターネットなどで情報を集めてお目当ての噺家さんの会を聞きに行く、というのももちろんいいのですが、独特の雰囲気を楽しめる寄席に足を運んでみましょう。
年明けの新春興行(初席)は人が多いので、年末がむしろおすすめです。ら
基本的に寄席は昼と夜の2回興行。
寄席によっても異なりますが、昼はだいたい1200-1700、夜は1700-2100ごろまで。
入場料は2500円程度。基本的にすべて自由席。途中から入っても出ても大丈夫です。
月の上旬(上席)・中旬(中席)・下旬(下席)の10日ごとで噺家のメンバーが入れ替わることが多く、多くの寄席では「落語協会」と「落語芸術協会」という二つの大きな団体の噺家さんが交互に出演します(昼と夜ではメンバーが違う)。

寄席の入場料は2000〜2500円程
寄席の入場料は2000〜2500円程

東京落語と上方落語の違いがわかれば、かなりのツウ

ちなみに、落語家の身分は、次の4つからなります。
見習い、前座(ぜんざ)、二つ目(ふたつめ)、真打(しんうち)。
この区分けは現在は東京だけであり、上方(京都や大坂をはじめとする畿内)には、これらの身分は存在しません。
長い時間のなかで落語がその地域に根付き、親しまれてきた名残として、このような違いがあるといえます。
さらに、上方と東京の落語の違いは多方面におよびます。
例えば、言葉はもちろんもそうですし、着物の着こなし、舞台装置から、演出法(東京落語が扇子一本なら、上方落語は「見台」「膝隠し」などの道具を用いる)も異なります。この違いがわかるようになると、かなりの落語ツウといえるでしょう。
話が少し横道にそれましたが、寄席に足を運んでみたら、まずは番組表を見てみましょう。
この番組表には書かれていない「前座」から真打ち、そして「主任」(トリ)まで、そして曲芸・漫才などだいたい十数人が出演しますが、その中には、上手い人、そうでもない人、なんだか痛い人など……、いろいろな演者さんが登壇します。
好き嫌いもあるでしょうし、人によっては退屈してしまう時間だってあるかもしれません。
でも、それがいいのです。退屈も含めて、ゆる~い時間をゆる~く過ごす、これが寄席なのです。

都内の寄席

東京には毎日興行がある代表的な寄席が4軒存在します(定席じょうせき)。
【浅草演芸場】
昼夜入れ替わりなしなので、一日中いることができます。持ち込み含めてアルコール可。六区付近は演芸場が多く、街の雰囲気も味わえます。
【上野鈴本演芸場】入れ替え制。ビルの2階にあります。ここは落語協会の人しか出ません。アルコール可。
【池袋演芸場】下席のみ入れ替え制。会場が小さく、噺家さんと近い距離で聞くことができるのが特徴。登場する人数も少ないので、比較的じっくりと聞けます。アルコール可。
【新宿・末広演芸場】戦後の古い建物で、雰囲気があります。中には畳敷きの桟敷があります。入れ替えなし。登場する噺家さんの数が一番多い。アルコール不可。
このほかにも必ずしも毎日ではありませんが、国立演芸場、浪曲専門の浅草木馬亭、浅草フランス座演芸場東洋館、らくごカフェ (東京・神田神保町)、お江戸日本橋亭、お江戸上野広小路亭、横浜にぎわい座などがあります。
ゆる~い空間で、しばしこの世の憂さを忘れてみてはいかがでしょうか。

国立演芸場
国立演芸場