なんと人間も家族で冬眠していました! 七十二候「霜始降(しもはじめてふる)」 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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なんと人間も家族で冬眠していました! 七十二候「霜始降(しもはじめてふる)」

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「暖炉のそばで家族で過ごす」。冬の憧れの図ですが・・・

「暖炉のそばで家族で過ごす」。冬の憧れの図ですが・・・

応答せよ! 応答せよ! ピーガガ〜(断線)

応答せよ! 応答せよ! ピーガガ〜(断線)

あったか家族。ふとんいらず

あったか家族。ふとんいらず

霜が降り始める時季です。そう聞いてもピンとこないほど、日中は暖かい日も多いですが、朝夕は思いの外冷え込むようになりました。寒くなると、野生の生きものの中には冬眠してしまう動物もいますね。何ヶ月も寝て過ごすための準備で、たいへん忙しいようです。そして昔はなんと、人間も冬眠していたというではありませんか!?

「食欲の秋」で太ってしまうのは、冬眠能力の名残りかも

冬眠する前の哺乳類は、さかんに食べて、極端に太ります。
通常、哺乳類の体には、脂肪からシグナルが出て あまり急激に太らないようにする仕組みがあるのですが、冬眠する哺乳類では、秋の大食する時期はこの『肥満コントロール信号』に体が応答しなくなるのだそうです。リスやプレーリードッグなどは、夏の活動期に比べて冬眠直前には体重が1.5倍になることも。人間に変換すると おそろしい増量ですね。
私たち人間も、「食欲の秋」といって 秋になるとついたくさん食べてしまう傾向があります。じつはこれも、人間の祖先が冬眠していた名残りではないかといわれているのです。
冬眠する動物たちは、冬になったらほとんどものを食べずに何ヶ月も寝て過ごします。その前の「食いだめ」は必須条件、春になれば自然にもとの体型に戻ります。一方、冬眠しないのに秋に「大食」し、さらに冬もさかんに飲食し続ける現代人(年末年始もありますし)・・・太るのは当然ですね。
冬眠する動物の体がどうやって『肥満コントロール信号』をオン・オフしているのかは、残念ながらまだわかっていないそうです。もしこの仕組みが明らかになれば、現代病の根源のひとつ「肥満」を防ぐことが可能になるかもしれません。人間としては、適量を数字でコントロールしつつ、スイッチがみつかるのを待つべきでしょうか。

近代まで続いた「冬眠」は、リスそっくりな習慣でした

なんと300年ほど前までは、人間も「冬眠」していたといいます。食べ物が乏しい冬期にエネルギーを節約することが主な目的でした。
1900年のイギリスの医学雑誌によれば、18世紀初頭のロシアの貧農は冬の6ヶ月間、1日の大半を家族全員で暖炉の近くで寝て過ごしていたそうです。日に1度だけ起きて、秋のうちに焼いておいた保存用のパンをひと口、水で流し込んでいました。このように長い冬の大半を寝て過ごす習慣は、ロシアでは『ロツカ』と呼ばれ、記憶に残らないくらい古くからあったともいわれます。モンゴルや中央アジアにもこの習慣があったようです。
また、フランスのアルプス地方の農民も、冬は寝て過ごすのが一般的でした。この地方では1年を「5ヶ月の地獄と7ヶ月の冬」と呼び、5ヶ月の過酷な労働の季節が終わると、冬の7ヶ月間は家畜と一緒に寝起きして暖をとり、食べる量を減らして貯蓄食糧を長持ちさせ、なんとか春がくるまで生き延びようとしたといいます。想像を絶する冬の厳しさだったのですね・・・。
こういう習慣は近代までごくあたりまえだったらしく、ヨーロッパの田園地帯では「秋の終わりから春が来るまでの間は戸外に人の気配がなかった」という記録もあるそうです。
「食べ物がないから寝て過ごす」のを「冬眠」と一緒にするのはどうかと思われるかもしれませんが、冬眠中にも何度か目覚めて食べ物を摂るリスなどの小動物と ロシアやアルプスの人たちがしていたことは、かなり近いようにも感じられます。家族で春まで冬眠する『ムーミン谷』の人々(←正確には人じゃないんですけれど)のイメージなども重なり、人間の暮らしと冬眠は、案外しっくり馴染むような気がしませんか?

将来「冬眠」できたなら、若さを保って3倍長寿?!

現代の先進諸国では食べ物がなくなる心配がないために、ヒトは自然の変化に合わせて体を最適な状態に調節する能力を失ってしまったともいわれます。冬眠する動物たちは、寝ながら体内をメンテナンスしているようです。
起きている時は、つねに外界からの刺激にさらされている生きもの。全身の組織や器官は、情報処理や対応に多くのエネルギーを使い、休むヒマもありません。その疲れが、病気や老化の原因に。そんな細胞を、外界から遮断された環境でじっくり再生させ若返らせようというのが、冬眠なのです! シマリスなどの小動物では「冬眠する個体のほうが元気で長寿」という研究報告があります。
じつは、現存する哺乳類のすべてのグループ(有胎盤類・有袋類・単孔類)に冬眠する動物がいることから、「冬眠する能力」は哺乳類共通の特質と考えられるのだそうです。ということは・・・人間にも冬眠できる遺伝子があるということ! 「風邪は寝て治せ」という言い伝えは、DNAからの指令だったのですね(たぶん)。
現在、この冬眠の再生能力を医療に生かす研究が進んでいて、成人病やガン、細菌・ウイルスなどによる感染症など、あらゆる進行性の病気の治療が一変する可能性があるといいます。もし「活動と休息の規則正しいサイクル」が実現すれば、若さを保ちながら2〜3倍の寿命を持つことができるのでは、とまでいわれているのです。
夏には活発に活動し、体に脂肪を蓄え、冬は蓄えた脂肪を燃焼させながらゆったりと暮らす。とくに冬の間は、ストレスやエネルギーの消耗は避ける。生きものとしては、そんな暮らし方が望ましいようです。霜が降り始めたら、体内の声に耳を傾けるときなのかもしれません。
それにしても、疲れた日々に冬眠ってかなり魅力的・・・ちょっと試しに寝て過ごしてみたくなりませんか。<参考>
「『人工冬眠』への挑戦」市瀬史(講談社)
「冬眠の謎を解く」近藤宣昭(岩波新書)


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