梅雨が明けると、やってくる夏。
暑いと海や川など、冷たい水を求めて遊びに行きたくなる人も多いのではないでしょうか。
でも、不意に湖や川、海などの水の中に、もし落ちてしまったら?
そんな水難事故への対処法として、世界的に注目されている合言葉が「UITEMATE」。
着衣のまま水面に浮いて救助を待つことをいい、子どもだけでなく、大人にも体得してほしい救命法です。
本格的な夏のレジャーシーズンを前に、大切な命を守るためにもぜひ知っておきましょう!

服や靴は脱がずに、そのままプカプカと浮いて救助を待ちます
服や靴は脱がずに、そのままプカプカと浮いて救助を待ちます

こんな時はどうする?

海水浴に川遊び、ボートや釣りなど、楽しい夏の遊びで注意したいのが水難事故です。
河川で遊んでいて流されてしまった……!
船で釣りをしていたら海に落ちてしまった……!
こういう場合はどうしますか?
当然、靴や服を着けたままですから、衣類が水分を吸収して重く、動きにくくなります。
慌ててもがくと溺れてしまうだけでなく、泳ぎが得意な人でも上手く泳げませんし、無理に泳ぐと無駄に体力を消耗することにもなりかねません。
そんな時に命を救う自己救助法が「ういてまて」。
文字通り「浮いて待て」という意味で、水面に体を仰向けに浮かべて呼吸を確保し、救助を待つ方法です。

「ういてまて」のポイント

水に落ちた時に助けを求めようと手を挙げると、体は立った状態で頭の一部だけが水面に出るため、さらに溺れやすくなってしまいます。
長く呼吸ができるように、次のポイントを押さえましょう。
①慌てずに大きく息を吸って、水面に仰向けになる。
*この時、怖がらずにあごを上げ、空を見るようにすると息がしやすくなります。
②手足は大きく大の字に広げて、水面に浮いたままひたすら救助を待つ。
*手は水上に出さず、水の中に入れておきます。
③水に落ちても、無理に服や靴を脱がない。
*軽い靴は浮き具の代わりになり、服は体温を保つ役目を果たします。
この方法は「着衣泳(ちゃくいえい)」ともいい、水難学会の救急救命士や指導員が全国の小学校などで講習会を開いています。
あえて靴をはいたまま、服を着たままで水に浮く練習、「ういてまて」を実践してみると、水着を着てプールに入った時とは状況が違う、ということがよくわかるといいます。

世界的にも注目され「UITEMATE」が合言葉に

東日本大震災の際、宮城県の小学校では津波に押し流された子どもや教員が「ういてまて」を実践して助かったケースがあります。
また、この方法を津波の被害の多いフィリピンやタイなどアジア諸国に紹介したところ注目を集め、「UITEMATE」という日本語のまま、広まっています。
木の葉のようにプカプカ浮くだけですから、とても簡単。
力が抜けた状態で水面に浮くことができれば、長い時間、息をすることが可能になり、体力も温存できるのです。
もし、ペットボトルやボール、発泡スチロールなど浮くものがあれば、ラッコのように胸に抱えると浮力があるので安心です。
そして、重要なことがもう一つ。
溺れている人を見かけたら、助けようとして飛び込んではいけません!
119番に通報し、大声で助けを呼ぶのが賢明です。
近くにボールがあったら、溺れている人に投げてあげてください。
ペットボトルはそのままだと軽すぎるので、少しだけ水を入れると遠くのほうまで投げることができます。
ほんのちょっとの知識と体験が安全で楽しい水遊びを約束します。
今年の夏も楽しく過ごせるように、いざというときに対応できるようにしておくことをお薦めします。
<参考>一般社団法人水難学会HP「UITEMATE(浮いて待て)」(リンク先参照)

楽しい川遊び。気をつけて遊びましょう!
楽しい川遊び。気をつけて遊びましょう!