笑う安倍晋三首相。テレビ東京の番組では脱原発派の昭恵夫人について質問され、苦笑して「新しい安全文化をつくっていかなければいけない。家内にも話をしています」と答えた(撮影/写真部・馬場岳人)
笑う安倍晋三首相。テレビ東京の番組では脱原発派の昭恵夫人について質問され、苦笑して「新しい安全文化をつくっていかなければいけない。家内にも話をしています」と答えた(撮影/写真部・馬場岳人)
結党以来守ってきた東京選挙区で議席を失うなど、結果は惨敗。海江田万里代表の背後の壁には当選者の名前が書かれたプレートが並ぶ予定だった(撮影/写真部・松永卓也)
結党以来守ってきた東京選挙区で議席を失うなど、結果は惨敗。海江田万里代表の背後の壁には当選者の名前が書かれたプレートが並ぶ予定だった(撮影/写真部・松永卓也)

 原発再稼働、憲法改正、消費税、TPP……。参院選の争点となるべき日本の難題は“アベノミクス”という呪文にすべてかき消された。

【週刊朝日に掲載された写真はこちら】

 投開票日前日の20日夜、東京・秋葉原で、安倍晋三首相は選挙戦最後にこう呼びかけた。「焼き肉屋に行って、ふだんはロースしか食べない人が、ボーナスが増えたからカルビを一皿食べちゃおっかと。(中略)こうやって日本の景気は回復していくんです!」。

 2007年、第一次安倍政権が挑んだ衆院選では、勝敗の帰趨(きすう)を決める1人区で6勝23敗と惨敗した。それが一転、今回は29勝2敗と完全に野党を粉砕した。

 民主党にとっては、再起不能と思えるほどの選挙結果である。海江田万里代表は神妙な面持ちでこう語るほかなかった。

「民主党が国民の信頼を得るための努力は道半ば。努力を続けたい」

 民主党は政権時代に権力闘争に明け暮れ、四分五裂して自民党の巨大化を許した。小政党ばかりとなった現在の野党に、次の展望は開けていない。

週刊朝日 2013年8月2日号