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日本に増える「家族難民」 シェアハウスが救う?

 結婚しない人が増えている。健康で若いときは自由でも、ひとたび病気や貧困に陥るとサポートしてくれる人がいない。中には結婚し、家族を持ちたくても経済事情などからもてない「家族難民」とも言える人々もいる。

 いつ自分が「難民」になるかもわからない。そんな現実を描いたのが、2月に公開される映画「東京難民」だ。些細なきっかけで貧困に陥り、家族も持てず、孤立する人たちが登場する。監督の佐々部清さんは言う。

「パソコンやネットカフェ、24時間営業のコンビニやファストフード店……今は一人でも貧困でもなんとかしのげるツールが溢れている。だからこそ、一度一人の気楽さに慣れると、面倒な人間関係を築いてまで家族を持ち、はい上がろうという意欲さえ失ってしまうようだ」

 佐々部監督は同郷で知り合いでもある安倍晋三首相にこの映画のDVDを送った。好きな人と家族を築く、そんなささやかな幸せを得ることさえ難しい人が急増している現状を知ってほしかったからだ。

 では、この現状にどう対応したらいいのか。前出の山田さんは、家族を持ちたいという思いがある独身者なら現実的な「婚活」の重要性を説く。

「年収600万円以上の男性しかイヤ、というような非現実的な条件を見直し、どういう人となら支え合って生きていけるかを真剣に考えるべきです」

 日本大学の久保田裕之准教授は、家族に過剰に頼らない人間関係の構築を訴える。大きなヒントとなるのがシェアハウスだという。高齢になってから突然施設で共同生活を始めるよりも、若いうちから血縁ではない他人と暮らす経験を積むことで、共同生活のスキルが向上するという。久保田さん自身も約10年間、シェアハウスの実践者だ。

「一緒に暮らすという経験の中から、たとえ他人であっても助け合える存在だと気づいていく。人の話を聞いたり、人に明るく接したりすることにも意識が向く。日本は家族神話がはびこり、人間関係が、どこまでも助け合うべき『家族』と、一切助け合えない『家族以外』に分断されている。子育ても介護も、万能装置であるかのように家族に負う部分が大きく、問題も生まれている。学生寮や社員寮などから始め、若いうちからもっと家族以外のつながりの中で暮らす訓練が必要だと思います」

 シェアハウスのマッチングをするNPOや事業者の支援、シェア用住宅の供給なども必要だと訴える。結果的に、今ほど「完璧」な家族を求めない傾向が生まれ、結婚のハードルも下がるかもしれないと予測する。

AERA 2014年1月27日号より抜粋


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