『“スウィート・サマー・サン” ストーンズ・ライヴ・イン・ロンドン・ハイド・パーク 2013』(Blu-ray)※ストーンズの最新ライヴ映像
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『レディース&ジェントルメン』(Blu-ray)※小熊のオススメ 72年のライヴ映像
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 ローリング・ストーンズの来日が発表になった。2014年の2月、8年ぶりだそうだ。
 それにしても、たいしたもんだ。平均年齢は、69歳。ミック・ジャガーは、1943年生まれというから、70歳を超えることになる。キース・リチャーズも、同じ43年生まれ。いやいや、最新のハイド・パークのライヴ映像を見ても、カッコいい!ときどき、キースの足がもつれて、お腹も出てきたけど、それも、ご愛嬌で、いかすぞ、じいちゃん!と声をかけたくなる。もちろん、愛をこめて!

 来日が発表になると、朝日新聞が号外を出したようだ。次回が6回目だというのに、ニュースになるのだ。

 ローリング・ストーンズの来日話になると、思い出すことがいくつかある。
 まずは、1973年の正月だ。
 72年の年末にローリング・ストーンズの初来日が発表になった。
 行きつけのレコード屋さんに行くと、
「ストーンズ、行くかい?」と声をかけられた。栃木県宇都宮のマルエス・レコードのお兄さんだ。このレコード屋さん、今は、もうない。
「チケット、あるんですか?」ときくと、
「これから、取るんだよ。行くなら、いっしょに買っておくよ」
 数日後、わたしは、ローリング・ストーンズのチケットを手にしていた。席がどのへんだったかは、覚えていないが、わたしが、生まれて初めて手にしたロック・コンサートのチケットだった。高校1年生だった。
『スティッキー・フィンガーズ』の熱がさめやらぬうちに、『メイン・ストリートのならず者』が発売され、聴きまくっていたころだ。
 しかし、ご存知のように、日本の外務省は過去の大麻所持を理由に入国拒否を発表し、公演は中止になった。
 マルエス・レコードのお兄さんは、
「チケットどうする?」と聞いてきた。これは、払い戻しをするか、記念にチケットを持っているか、という選択を聞いてきたのだ。わたしは、しばらく考えて、払い戻しをお願いした。そして、その戻ってきたお金で、エルトン・ジョンの海賊盤、ブートレッグを買った。『マッド・マン』を出したころのライヴで、レコードでは、ポール・バックマスターのたいそうなオーケストラ編曲つきの曲が、ライヴでは、バンドだけで演奏されていた。正規に発売されているレコードのほかに、こうしてライヴ音源を聴くことができるのだということを知った。しかも、レコードは、黄色だった。当時のレコードに赤盤というのがあったが、黄色は、それまで、見たことがなかった。

 次に、ローリング・ストーンズ関連の来日の話題が出るのは、88年ミックのソロでのライヴだ。わたしは、東京ドームで二度観た。ストーンズの曲を中心に演奏していたが、なぜか、あまり感動しなかった。こんなものではないはずだ、と思ったことを覚えている。ますます、ストーンズを観たくなってしまった。

 そして、90年、ストーンズは、来日した。当時、わたしは、ぴあ株式会社に勤務していた。約20年勤務したのだが、そのほとんどをチケットぴあの販売系の仕事をしていた。しかし、たった1年だけ、CI、コーポレート・アイデンティティの業務についたことがある。その年に、ストーンズは、来日した。だから、わたしは、ストーンズのチケット販売に直接担当としてかかわることはなかったのだが、やはり、社をあげての大型販売だったので、わたしも現場にいた。そのときのことで、記憶に残っているのが、
「レコードのタイトルをたくさん言えるやつから売ってくれよ」
「メンバーの名前、言えるやつから売ってくれよ」
「ストーンズ聴いたことないやつに売るなよ」等々。
 つまり、それまで、待ちに待った熱烈なファンに、あるいは、これまでストーンズを愛してきたファンから先に、優先して販売してほしい、という願いだった。その気持ち、よっくわかります。

 わたしも、見にいった。感動した。これが、ストーンズなんだ、スゲー、ノリが違う。多くの観客が、同じ思いだったのだろう。ドームを出た後も、なかなか帰ろうとせず、そこかしこで、ストーンズの曲を、みんなで歌いまくっていた。こんなコンサートは初めてだった。

 その後、95年の『ヴードゥー・ラウンジ』ツアー、98年『ブリッジズ・トゥ・バビロン』ツアーと観にいった。このころ、会社での業務が、エンターテイメント・グッズ販売だったので、ストーンズのTシャツをたくさん売った。当時、渋谷109や新宿アルタの前で、ロック・Tシャツを売っていたのは、わたしです。

 そして、2003年。もう行かなくてもいいか、なんて話していたら、武道館でのライヴが発表になった。しかし、チケットは手に入らず、諦めかけていたところ、友人から、チケットがあるから行かないかと声をかけられ、武道館公演も見ることができた。

 ところで、ローリング・ストーンズは、歌詞がすごい。きちんと読んだことがあるだろうか?スラングが多く、辞書に載っていないような言葉が多いので、本当のところ、正確な意味というものがわかりにくい、また、日本のCDやDVDでも歌詞の日本語の訳がついているものは、ほとんどない。今はネットで検索すれば、参考になるような訳詩がヒットするかもしれないので、ぜひ、検索してほしい。
 たとえば、≪ブラウン・シュガー≫などは、「ブラウンなオンナはサイコーだ!」と歌っているわけだ。ま、春歌のようなものと思っていただいてよい。
 知り合いの女性が、歌詞の意味を知って、
「あたし、こんな歌詞の歌、何年も好きだったんだ」とがっくりきていたが、わたしは、そんな歌詞を知ってから、ますます、ストーンズが好きになってきた。60歳を目前に控え、人生の終わりも意識し始めるこの年で、人生、こんなもんさ!という達観の心境に近づけるのだ。
 ローリング・ストーンズ、永遠なれ![次回12/11(水)更新予定]

■公演情報は、こちら
http://kyodotokyo.com/14onfire