『ライヴ・イン・ヨーロッパ 1969 : ザ・ブートレグ・シリーズ Vol.2』 |AERA dot. (アエラドット)

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『ライヴ・イン・ヨーロッパ 1969 : ザ・ブートレグ・シリーズ Vol.2』

文・中山康樹

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公式ブートレグ・シリーズ第2弾まもなく登場か
Live In Europe 1969 : The Bootleg Series Vol.2 (Columbia/Legacy)


 マイルスのレガシー盤は、発売日が告知されてから一方的に延期されることが常態化しているが、オフィシャル・サイトで紹介され、一部で予約受付も始まったようなので、このタイミングでご紹介しておきたいと思う。

 まずは気になる概要だが、これに関しては我がHMVの紹介分がわかりやすいので、それを一部抜粋かつ流用させていただこう(断じて手抜きではありません!)。「昨年の生誕85周年および没後20年を記念してリリースされた『ブートレグ・シリーズVol.1』の続編が遂に登場。『Vol.1』は、アコースティック・ジャズの最高峰にして臨界点、マイルス・デイヴィス黄金の第2期クインテットによる1967年11月のヨーロッパ・ツアー音源だったが、今回は第3期、そしてロスト・クインテットといわれるクインテットによる音源である。メンバーはウエイン・ショーター(sax)、チック・コリア(key)、デイヴ・ホランド(b)、ジャック・ディジョネット(ds)。このユニットは1968年から1970年まで存在したが、公式なアルバムは『1969マイルス』(1969年7月ライヴ録音)しかない。そのぶん、ブートレグ音源は多数存在するわけであるが、伝統の破壊と再構築を極限まで推し進めたこのユニットのすさまじいパフォーマンスが、ついにここに公式に明らかとなるのだ」

 そうなのです、遂にロスト・クインテットがその全貌を公式に現すときがやってきたのです。内容はCDが3枚、DVDが1枚という構成。3枚のCDには、パリ、ストックホルム、アンチーブ(フランス)でのライヴそしてDVD(約45分)には、1969年のベルリンにおけるライヴが収録されている。 さらに詳しい収録曲や録音データに関しては、別掲の一覧表をご覧ください。

 もちろん、ロスト・クインテットの重要な音源はこれだけではありません。今回の発売に関しても、決して完璧な構成とは言い難い。さらに加えて、こうしたかたちで出した場合、もうロスト・クインテットの音源は二度と発売されないかもしれないという可能性もないわけではない。そう考えれば、3枚組といわず5枚組あるいはそれ以上の枚数を費やしてもいいから、もっと完璧かつ究極のボックス・セットをつくってほしかったという思いは残る。

 しかし、そうした不満も含めた上で、やはりロスト・クインテットの圧倒的な演奏が公式に多くの人の耳に届くことは十分に意義があり、すばらしいことだと思う。少々値は張るかもしれないが、この機会に、ロスト・クインテットの演奏にぶちのめされていただきたい。それではまた来週。


【収録曲一覧】
CD One
1 Introduction by Andre Francis
2 Directions
3 Miles Runs The Voodoo Down
4 Milestones
5 Footprints
6 Round Midnight
7 It’s About That Time
8 Sanctuary
9 The Theme
(Recorded 7/25/69 at Festival Mondial du Jazz d’Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France.)

CD Two
1 Introduction by Andre Francis
2 Directions
3 Spanish Key
4 I Fall In Love Too Easily
5 Masqualero
6 Miles Runs The Voodoo Down
7 No Blues
8 Nefertiti
9 Sanctuary
10 The Theme
(Recorded 7/26/69 at Festival Mondial du Jazz d’Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France.)

CD Three
1 Introduction by George Wein
2 Bitches Brew
3 Paraphernalia
4 Nefertiti
5 Masqualero (incomplete)
6 This
(Recorded 11/5/69 at “The Newport Jazz Festival In Europe,” Folkets Hus, Stockholm.)

DVD
1 Introduction by John O’Brien-Docker
2 Directions
3 Bitches Brew
4 It’s About That Time
5 I Fall In Love Too Easily
6 Sanctuary
7 The Theme
(Recorded 11/7/69 at Berliner Jazztage in the Berlin Philharmonie.)

Miles Davis (tp) Wayne Shorter (ss) Chick Corea (p, elp) Dave Holland (b, elb) Jack DeJohnette (ds)


(更新 2012/12/ 6 )


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プロフィール

中山康樹

 「スイングジャーナル」元編集長。『マイルス・デイビス自叙伝』やコレクターズアイテムも含めた全作品を解説した『マイルスを聴け!!』等で聴きだしたらとまらない「マイルス地獄」へ誘っている。

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