「キャプテン・アメリカ」が直面する"時代"と"正義"
アメコミ、アメリカン・コミックスに興味を持ったのは、中学生の頃でした。 当時買っていた『SFマガジン』に小野耕世氏が連載していたアメコミの紹介エッセイがきっかけです。 もちろんその前から、『スーパーマン』や『バットマン』がアメコミだということは知っていました。もっと幼い頃、『バットマン』の最初のテレビシリーズの放映にあわせて少年画報社が原作を翻訳して出版していました。一二冊買ってもらった記憶もある。バットマンがゴリラになるようなマンガが載っていました。 ただ、当時はアメコミというのはマスクをつけたヒーローが悪漢をやっつけるシンプルな勧善懲悪ものだと甘く見ていました。 池上遼一の『スパイダーマン』が大好きだったのですが、それも日本版はこちらで勝手に改変したので、これだけ面白いマンガになっているのだろうと思っていたのです。 ですが、小野耕世氏のエッセイを読むと、そんなものじゃなかった。 スタン・リーという原作者が登場し、スーパーヒーローに現実世界を持ち込んでいました。60年代ですので黒人解放運動や学生運動、ドラッグの問題など、激動する社会問題をコミックの中に織り込んでいった。 その中でも特に、印象的だったのが「二人のキャプテン・アメリカ」というエピソードでした。
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