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森下香枝

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森下香枝の記事一覧

卵子老化の真実
卵子老化の真実 テレビなどで最近話題の「卵子老化」。世は美魔女ブームだが、卵子の老化は誰にも止められず、妊娠力は20代後半から低下する。その一方で誤解や偏見も多く、報道を見て「結婚するなら34歳までの女性にしなさい」と息子に口出しする母親も増えているという。  25年間、出産の現場を取材してきたジャーナリストが、卵子老化と高齢出産の実態を、専門家への取材や最新統計、体験談でわかりやすく伝えているのが本書だ。今や日本女性の平均初産年齢は30.1歳。36人に1人は1回30万~80万円もかかる体外受精によって妊娠した子どもである。だが、驚くべきことに、日本は体外受精の数は断トツの世界一だが、妊娠率は50カ国中45位。何百万円かけても赤ちゃんが生まれないという悲劇が急増しているのだ。  40歳以上の出産では染色体異常は20歳の15倍に増加するが、出生前診断についての現場の本音も詳しい。高齢出産の意外なメリットや、明治女性の驚異的な高齢出産力(45歳以上の出産数は現代の21倍!)は一読の価値あり。
悲しみを生きる力に
悲しみを生きる力に 東京都世田谷区で宮澤みきおさん一家4人が殺害された事件から12年の歳月が流れた。みきおさんの妻、泰子さんの姉で事件当時、隣に住んでいた絵本作家の入江杏さんが1月末、これまでの思いを綴った本を出版した。  本には在りし日のみきおさん一家の写真、長女、にいなちゃん(当時8歳)が描いた絵などが掲載されている。入江さんは長年、心ない報道、周囲の偏見、妹一家を助けられなかったという自責の念など悲しみの連鎖に悩まされるが、2006年に一家が大切にしていた子グマのぬいぐるみ「ミシュカ」を主人公にした絵本を出版。被害者遺族として時効撤廃運動にも参加し、10年には刑事訴訟法が改正され、時効廃止を実現させる。  だが、同年にこれまで入江さんを支えた夫が突然、倒れ、帰らぬ人となる。その翌年には事件の第一発見者となった母親も病で亡くすという耐え難い喪失体験を再び経験するが、それも乗り越え、東日本大震災の被災地など全国で絵本の読み聞かせ、講演などを行い、自身の体験をもとに悲しみの意味や大切さを今も語りかけている。
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