走り始めても1年以内に4人に3人がやめる──そんな現実がある。ランニングが続かなかった「燃え尽きランナー」の共通点とは。そして、燃え尽きないためのポイントとは。

 今年、スポーツ用品大手のデサントと体重計メーカーのタニタが行った共同調査によれば、ランニングを始めて1年以内でやめてしまう燃え尽きランナーの割合は、77%にも上るという。

 市民ランナーを指導するランニングアドバイザー、眞鍋未央さんは、そんな燃え尽きランナーたちを数多く見てきた。

「1カ月目は誰でも楽しいんです。体や体調の変化も見えやすいから、モチベーションが続く。3カ月目ぐらいで変化がなくなり、雨が降るとラッキーと思ったりする。これはもう危険信号ですね。走ることが『義務』になっている証拠」

 とくに男性は「突っ走り型」で、オーバートレーニングになる人が多いという。学生時代に体育系の部活動に在籍していたりすると、体力が落ちている現実に目を向けたがらず、高い目標を設定してしまう。そして、アッという間に燃え尽きる。

 前出の調査によると、2日に1回以上走っているランナーの場合、半年以上継続できない人が7割近いそうだ。

 そこで、眞鍋さんが提唱しているのは、「腹八分目」のラン。たとえば初心者なら、ウオーキングを10分、ランを5分。またウオーキングに戻して10分、ランを5分。その30分だけでいいという。しかもたった1週間に1回。

「え~、それではさすがに物足りないんじゃないですか」と言うと、眞鍋さんはこんなアドバイスをくれた。

「その場合は、ランではなく、筋力をつける補強運動を追加しましょう。あとは早歩きで駅まで歩いたり散歩したり、日常のなかで運動する時間を増やすほうがいいですね」

 ランニング一色にならないように、あえてほかの趣味をつくったり、仕事での目標を立てたりすることも有効だ。

「SNSを見ると、ずらーっとマラソンのことしか書いていない人がいます。のめりこむタイプの人も燃え尽き予備軍です」

AERA 2014年10月20日号より抜粋