昨日8月26日(月)発売のAERA9月2日号に掲載した、大学入学共通テストに関する記事「英語の民間試験は中止を 271人の悲鳴」「記述式で50万人をどう採点するのか」に、試験を受ける高校生や保護者、現場の教師たちからの反響が続々と寄せられています。2020年度(2021年実施)から、「大学入試センター試験」は「大学入学共通テスト」に変わります。実施はまもなくですが、新たに導入される「英語民間試験」や国語と数学の「記述式問題」を巡り、課題が山積しています。記事では、いったい何が問題で、文科省はどうしようとしているのか、について詳細にリポートしました。
2020年度から始まる「大学入学共通テスト」は、これまでの「知識偏重」の大学入試から脱却し、高校・大学教育の一体的な改革を目指そうというものです。目玉は、英語で複数の試験を活用し、従来の「読む・聞く」に「話す・書く」を加えた「4技能」を評価することと、国語と数学で「記述式問題」を導入し、「思考力・判断力・表現力」を測るということです。
しかし、英語については当初から、複数の民間試験を使って公平性が保たれるのか、といった懸念の声が上がっており、今年6月には大学教員らが英語の民間試験の利用中止を求める請願を国会に提出。7月には参加する予定だった民間の試験団体の一つ「TOEIC」が撤退を発表しました。国語と英語の記述式問題についても、現行のマークシート方式と違って採点に時間と人手がかかったり、自己採点が難しくなったりすることで、2次試験の出願に支障が出る可能性が指摘されています。
編集部は8月1日から15日にかけて、インターネットを通じたアンケートを実施。高校生や保護者、高校・大学教員ら271人から回答を得ました。英語の民間試験については、「中止すべき」と答えた人が全体の72%にのぼり、国語と数学の記述式問題についても、「不安を感じる」人が87%にのぼるという結果。自由記入欄に届いた悲鳴のような声とともに、「大学入学共通テスト」の問題点を詳述した記事には、SNSなどを通じて「マジョリティはやはり反対」「やっとメディアが取り上げてくれた」「まだこんな状況だったとは……」「受験生を無視した改悪」などの反響が続々届いています。
本誌がこの記事で、英語民間試験に関する情報が学校に通知される仕組みがなく、教員や学校の間で情報格差が生じていることを指摘した翌日の8月27日、文部科学省は英語民間試験に関するリンクやPDFをまとめた特設サイトを開設。英語民間試験の導入を強行する構えですが、事業者からの情報をまとめただけのサイトは読みにくいうえ客観性に欠け、詳細については未定部分が多いまま。さらなる疑問の声が高まっています。
【概要】
AERA(アエラ) 2019年9月2日号
定価:390円(税込み)
発売日:2019年8月26日(月曜日)