【ドラマのミカタ】 元アイドル女優のその後を追う 「ナオミとカナコ」(フジテレビ) 〈GALAC(ぎゃらく)〉|AERA dot. (アエラドット)

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【ドラマのミカタ】 元アイドル女優のその後を追う 「ナオミとカナコ」(フジテレビ)

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木村隆志GALAC(ぎゃらく)

 現在のようにグループアイドルがブームになるまで、その役割を果たしていたのは女優だった。アイドル女優としてドラマに主演しつつ、歌手としてもヒットを飛ばす。そんな90年代のアイドル女優として象徴的な存在だった広末涼子と内田有紀が、当作でダブルヒロインを務める。言わば、「同じ時代に同じ道を生きた」盟友だ。しかも、ドラマの内容は、「大学時代の親友2人がDV夫を殺す完全犯罪」というダークサスペンス。かつて、まぶしい笑顔で視聴者を魅了していた2人のその後を推し測るには、これ以上ない刺激的なテーマと言える。

 当作で特筆すべきは、2人の年齢設定。原作小説では29歳だが、ドラマでは35歳に変更された。これは30~50代の女性が多い同枠の視聴者層に合わせたものだが、それ以上に広末と内田を生かすためのお膳立てにも見える。その女性視聴者層こそ、元アイドル女優である2人が現在つかむべきファン層だからだ。

 原作からの変更でもう1点の注目は、DVをふるっていた直美(広末)の父。原作では生きていたが、ドラマでは死んだことになっていた。これは「死ぬまで暴力を振るい続けた」という壮絶な過去を持たせることで、「DVは死ぬまで直らない。だから加奈子(内田)の夫は殺すしかない」という悲壮感を醸し出すための変更。いまだ残るアイドル女優の残像を払拭するためには、これくらい暗い過去や覚悟があったほうがいい。

 アイドル女優だったころには考えられないショッキングなテーマと、息が詰まるような重苦しい展開のなかで、広末は意図的に低い声を使っているし、内田は自ら目の輝きを消している。約20年もの歳月は、アイドル女優に悪を演じるたくましさをどれほど与えたのか。その演技に影や闇が宿るほど、私たちは広末と内田の女優としての約20年間に思いをはせられる。

 なかでも楽しみなのは、DV夫を殺したあとに追い込まれていく2人の演技。血の気を失い、手足が震え、必死に不安と闘う姿は、女優としての現在地点を見極める絶好のシーンになるだろう。2人が演じる直美と加奈子は、犯罪者ながら「絶対に逃げ切って!」と肩入れしたくなるキャラクターだが、広末と内田にも「アイドル女優の残像から絶対に逃げ切って!」と応援せずにはいられない。

 シリアスな作品の現場は、例外なく過酷だ。撮影スケジュールだけでなく、精神的な負担が大きいため、狂気に満ちた演技を見せる女優も多い。最終回で2人がどんな女優の顔になっているのか? 期待しながら見守りたい。

●きむら・たかし もう1人の注目は佐藤隆太。これまで優男や熱血漢の役が多かったが、今回はDV夫を演じている。「狂気を見せるほどダブルヒロインが輝く」という図式だけに、「佐藤が怖い ! 」と話題になれるか。


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