書評『うんちの行方』神舘和典,西川清史著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

うんちの行方 神舘和典,西川清史著

吉村博光書評#話題の新刊

 出物腫れ物所嫌わず。本書の主役は「ウンチ」である。水洗トイレ普及率90%以上の日本では、どこでも快適に用が足せる。だが果たして私たちは、あの水流の向こうの世界を想像したことがあっただろうか。

 トイレの汚水は、長い下水道を経て下水処理場に運ばれる。本書では、処理場で汚水を嗅ぎ、国土交通省や不動産会社、元鉄道会社の方などに疑問をぶつける。「もしマンション全戸で一斉に流したら?」「鉄道や船ではどう処理している?」。まるで名探偵のような嗅覚と行動力だ。

 ウィットに富んだ文章を味わいながら、人類の大問題「屎尿処理」の過去と現在が浮かび上がる。ビル・ゲイツが2億ドルを投資した未来のトイレや災害時のトイレの話にも言及する。瞬時に流れて消える「ウンチ」だが、本書を読めば、もう目を背けることはできない。(吉村博光)

週刊朝日  2021年3月19日号


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