「格差社会」という言葉がにわかに浸透したのは、私の記憶では2006~07年だった。20世紀は「一億総中流社会」だったはずなのに何ちゅうこったい!

 だが、本書『新・日本の階級社会』の著者・橋本健二はいうのである。〈現代日本で格差拡大が始まったのは1980年前後のことである。だから、格差拡大はもう、40年近くも続いているのである。(略)40年近くも放置されてきた、といってもいい〉

 では70年代から2000年代初頭まで信じられていた「一億総中流社会」とは何だったのか。

〈それは現実の生活程度と、自分の生活に対する人々の自己評価、つまり階層帰属意識を混同していたこと〉などが関係し、〈もともと疑わしいものだった〉。

 ゲッ、そ、そういうことか。

 著者は階層ではなく階級と呼べと前から主張してきた人である。資本家と労働者といった言葉はもう古いと思いがちだけど、この分類はなるほど当を得ている。

 社会の頂点に立つ資本家階級(経営者・役員)は就業人口比約4%で平均年収604万円。その下の新中間階級(管理職・専門職・上級事務職)は約21%、499万円。底辺を支える労働者階級(単純事務職・販売職・サービス職など)は約35%で370万円。資本家と労働者を兼ねた旧中間階級(自営業者・家族従業者)は約13%で303万円。しかしながら問題は、労働者階級の下に非正規労働者などのアンダークラスと呼ぶべき層があることで、この層の比率はじつに約15%におよび、年収は186万円と極端に低い。

 現代の日本社会は〈もはや「格差社会」などという生ぬるい言葉で形容すべきものではない。それは明らかに、「階級社会」なのである〉。ほんとですよね。

 にもかかわらず上の四つの階級に属する人々は最下層のアンダークラスへの同情が薄い。貧富の差は個人の責任だとする「自己責任論」を彼らは支持し、所得再分配政策にも否定的だと。労働者階級もいまや抑圧する側なのだ。そういう社会になっちゃったのである。

週刊朝日  2018年2月23日号