書評『冤罪捜査官 新米刑事・青田菜緒の憂鬱な捜査』椎名雅史著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

冤罪捜査官 新米刑事・青田菜緒の憂鬱な捜査 椎名雅史著

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相原透書評#話題の新刊

 主人公は正義感の強い女性、青田菜緒28歳、職業は冤罪捜査官。本書は、「プロローグ」で発生した事件が物語の軸となり、続く各話で解決したはずの事件が点として残り、やがてそれらすべての点と点がつながって一本の線となっていく連作ミステリーである。
 主人公はあこがれの警察官になったものの、配属先は「悪い奴を捕まえる刑事課強行犯係」ではなかった。誤認逮捕されたり自白を強要されたりした被疑者を救うために捜査にあたることから、警察内部で嫌われている「冤罪係」だった。物語は保険金殺人、連続婦女暴行などの事件捜査をめぐってテンポよく進む。真っ直ぐな性格とプロレス技、そして彼女を支える個性的な先輩や同僚によって、読者を“真実”まで運んでくれる。
「俺はやってない!」「わたしは無実です!」という被疑者たちの叫びに耳を傾け続ける冤罪係ひとりひとりの真摯な姿が、とても印象的で爽やかだ。闇の中に消えた真犯人を捜し出すたびに成長していく菜緒の姿は、とくにりりしい。

週刊朝日 2015年12月25日号


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