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無罪請負人
話題の新刊
2014/05/22 19:15
本書はあまたの刑事弁護に関わってきた弁護士が、自身の活動を基盤に「時代を映す鏡」としての刑事事件を解説したものだ。
「刑事」裁判は、犯罪を認定し具体的な刑罰を科すことを目的とし、私人の権利関係について争う「民事」裁判とは区別される。裁判制度自体、一般にピンと来るものではないかもしれない。しかし、これまで著者は厚生労働省官僚の郵便不正事件やロス疑惑など、普通の暮らしがある日一変する冤罪事件に多く関わってきた。「無罪請負人」はマスコミがそんな著者につけた呼び名でもある。それゆえ本書を支えるのは、刑事事件が自分たちの生活と「無縁なものではない」という問題意識だ。
世間の注目を集めた事件の回想は弁護人しか知り得ない話が多く、貴重な資料といえる。しかし、最も注目すべきは事件に関わる根本的姿勢にある。著者は「弁護士は、あらゆることについて予断や偏見を持つべきではない」と語る。むしろ大事にしているのは「依頼人の話をよく聞くこと」という。他業種の人間でも、その言葉に学ぶところは大きい。
※週刊朝日 2014年5月30日号
無罪請負人 刑事弁護とは何か?
弘中惇一郎著


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