カルビー社で担当の三井剛さんと著者
カルビー社で担当の三井剛さんと著者

 正統派ノンフィクション『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』から、プロ野球本の奇書『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』まで、球界の表と裏を書き続ける長谷川晶一。最新作『プロ野球ヒストリー大事典』は、日本プロ野球の約90年にも及ぶ歴史(正史・秘史・俗史)を佐野文二郎の膨大なイラストと写真で明解にまとめた集大成(?)的作品。そのPART2「キーワード別 日本プロ野球史」から「プロ野球チップス史」を紹介する。

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■発売49年目のロングセラー

 「今度は誰のカードが出るのかな?」と期待と不安とともに袋を開封する喜びと興奮。友達と交換したり、コレクションしたり、昭和、平成、令和と、時代が変わっても、その快感は不変だ。子どもも大人も魅了する僕らのプロ野球チップスカード。カード作りにかかわる三井剛さんに話を聞くためにカルビー株式会社を訪ねてみた。

 「元々は1971(昭和46)年発売の『仮面ライダースナック』のオマケとしてカードをつけたことがキッカケでした。それを受けて、73年にカードつきの『プロ野球スナック(当時)』を発売しました」

 73年と言えば巨人V9達成の年であり、長嶋茂雄の現役最晩年だ。当然、記念すべき「カード第1号」は笑顔の長嶋さん。

「当時は巨人人気が最高潮でしたから、カードも巨人中心でした。実際、巨人が強いと売り上げもいいんです。これまでの販売記録を見ても、76年、87年、そして00(平成12)年の売り上げがすごくいいんです」

 三井さんが挙げた年は、いずれも巨人が優勝しており、同商品は現在にいたるまで一貫してカルビーの看板商品なのだ。

 「現在は年3回に分けて、まずは開幕に合わせて3月に第1弾、第2弾は6月、第3弾は9月に発売して11月に終売。そして、翌年の3月にまた新しい年度の商品を出します。第1弾のカード作りは前年の12月から始まります。現在は12球団均等に作っています」

 21(令和3)年の第1弾を例に挙げると、通常の「レギュラーカード」や印象的な場面をモチーフにした「エキサイティングシーンカード」、前年の引退選手をカード化した「レジェンド引退選手カード」、主要タイトルを獲得した選手による「タイトルホルダーカード」、そして、「チェックリストカード」で約120枚がラインナップされている。

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累計約2万種類、約18億枚発行