玄秀盛さん。公益社団法人「日本駆け込み寺」にて(撮影/岩下明日香)
玄秀盛さん。公益社団法人「日本駆け込み寺」にて(撮影/岩下明日香)

 東京都は3度目の緊急事態宣言が20日に明ける。長引く自粛に慣れと疲れが生じたこの期間、歌舞伎町(東京都新宿区)で、未成年の男女2人がビジネスホテルの敷地内から飛び降るショッキングな出来事があった。コロナ禍、歓楽街に身を寄せる未成年を取り巻く状況とはどうなっているのか。19年間にわたり歌舞伎町を見てきた公益社団法人「日本駆け込み寺」の代表・玄秀盛さんに語ってもらった。

【写真】未成年が飛び降りた現場付近には花が手向けられていた

 コロナ禍、どういった状況下から未成年の子どもたちは歌舞伎町を訪れるのだろうか。

「これまでは適度な親子の距離を保てていたとしても、不要不急の外出を避け、ずっとウサギ小屋のような家で一緒にいたら、家庭内でぶつかる機会が増えていく。だから、子どもが『ちょっと友達に会いに行く』と言えば、親も子どもが外に出ていてくれる方がましになっていき、『行っておいで』となる。子どもたちは、この1年間、修学旅行や体育祭とか何のイベントもなく、オンラインで授業して、学校に行っても早く帰らされ、友達と遊んで発散することもできないから、ストレスだらけ。でも、子どもだから好奇心の塊やん。親は、まさか自分の子どもが歌舞伎町に行っているとは思わん」

 歌舞伎町に身を寄せる未成年の中には、「トー横キッズ」と呼ばれる「新宿東宝ビル」(旧コマ劇場)の東側横の路地でたむろする中高校生がいる。「トー横キッズ」は多い時に20、30人の群れを作り、休日になると昼間からコンビニ前の路上でたばこや酒を飲む姿が度々目撃される。

「トー横の路地には、居酒屋や回転寿司、カラオケがあるけど、コロナ禍で閉まっているから、店前でたむろしたり、ゴミを散らしたりしても誰も注意しない。だから、余計集まりやすいねん。近所の公園に集まったら、うるさいと通報されるけど、歌舞伎町ならたばこ吸ってようが、酒飲んでようが、誰も干渉しない。警察や補導員に声をかけられたら、たばこをポイっと捨てて、『自分のじゃない』で終わり。それもコロナで補導員は自粛しているし、歌舞伎町には住民がおらんから、地域の自治機能が成り立たんねん」

「トー横キッズ」の中には、大人に声をかけられて売春する子も少なくないという。

次のページ
援助交際や売春も…