世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

【写真】ゴンザレスが潜入した“風俗マンション”

アメリカでは合法で購入可能なマリファナも、日本で入手したら即刻「逮捕!」である
アメリカでは合法で購入可能なマリファナも、日本で入手したら即刻「逮捕!」である

■水面下で高まる大麻需要

 俳優の伊勢谷友介被告が大麻所持で逮捕されるなど、日本では「麻薬」とされる指定薬物をめぐる問題が、連日のワイドショーなどで世間の耳目を集めている。その薬物に関連して、ここ最近の日本では、思いもよらない現象が起きている。それは「麻薬不足」である。

 裏社会で特に深刻とされているのが、ケミカルドラッグに分類されるコカインやMDMAといった各種ハードドラッグ。原材料を国内でまかなえる中南米ならいざしらず、アメリカでも密輸される量に影響が出ており、コロナ禍がこれ以上長期化すれば、価格に影響が出てくるとも予想されている。コロナ禍によって人とモノの移動が制限されてしまったため、それに比例してドラッグの移動(密売買)も難しくなってしまったという構図である。

 とりわけ四方を海に囲まれている日本では、麻薬不足が顕著である。海外からの人、モノの移動が減れば、それだけ密輸も露見しやすく、麻薬の「越境」は困難を極めている。

「コカイン、タマ(MDMAの隠語)なんかはまったく手に入らないよ。あったとしても値上がりしているから、今までのようには手を出しづらいね」

 その筋の友人からは、ここ最近でよく聞く話だ。
そんな中、彼らがいま注目しているのが、マリファナ(大麻)である。先日、伊勢谷被告が逮捕された際に所持していたものである。

 日本におけるマリファナは、インポート(密輸)ものと、国内産のものの両方が流通している。ひと昔前だと、国産は海外産に比べて品質的に下に見られることもあった。ところが近年では、そのクオリティも徐々に高まっていき、海外産にも引けを取らなくなったという。そして国産であれば、コロナ禍においても一定量の供給を賄うことができる。そうした流れもあって、国内のマリファナ市場は今まさに追い風で、ニーズが高まり活況なのだという。

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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