「京都府警科学捜査研究所が昨年、犯人の血液などのDNAから簡単に年齢を推定できる新たな鑑定手法を考案した。警察庁を通じ、鑑定を依頼した結果、15歳~22歳前後まで絞り込めたので、20代と変更した。現場に残された犯人のヒップバッグの内側に付着していた赤の蛍光剤が蛍光ペンのインクと新たに判明したため、犯人は当時、学生か、浪人生で使っていた可能性がある。だが、もう18年も経っているので、今ではいいオッサンだろう」(警視庁捜査関係者)

警視庁が2018年5月、公表した犯人の遺留品のレプリカ(c)朝日新聞社
警視庁が2018年5月、公表した犯人の遺留品のレプリカ(c)朝日新聞社

 警視庁がこれまで公表を頑なに拒んできた極秘扱いの「DNA鑑定書」が実は存在するという。元警視庁幹部がこう振り返る。

「捜査の核心は犯人が日本人じゃなく、西洋人と東洋人のハーフの可能性が高いこと。この件は複数回、実施したDNA鑑定ですでに証明されている。それなのに警視庁は頑なに結果を公表せず、歳月ばかりが過ぎてしまった」

 元捜査一課幹部によると、事件発生から5か月後、警視庁初の“DNAプロファイリング”が極秘で実施された。DNA鑑定の権威だった帝京大学医学部の石山昱夫教授(当時)に、犯人の血液から採取したDNAサンプルを警視庁科学捜査研究所幹部(当時)が持ち込み、分析を依頼した。

「当時の技術でもDNAの遺伝子情報から、母系からのみ伝わるミトコンドリア、父系からのみ伝わるY染色体多型などを抽出し、その塩基配列型の系統を詳しく分析すれば、白人、黄色人種などの人種的特徴を判別することができた。事件直後は母系のミトコンドリア(DNA)のみを分析した。その結果、『アンダーソンH15型(ヨーロッパ系の白人)』だとわかり、仰天したよ。日本人の母親という確率は0.01%以下だ。だが、捜査に先入観を与えてはいけない、と当時の捜査一課幹部が判断し、この情報は極秘扱いとなった」(当時の科捜研幹部)

事件現場となった宮澤みきおさん宅(c)朝日新聞社
事件現場となった宮澤みきおさん宅(c)朝日新聞社

 05年には捜査一課管理官(当時)が再び、日本DNA学会重鎮のM教授にDNA鑑定を依頼していた。M教授は鑑定についてこう語っていた。

「持ち込まれた検体はきれいな鮮血だ。DNAの検出には問題なかった」

 06年1月にはM教授から捜査一課へDNA鑑定書が届けられた。

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DNA鑑定書の結果は…