日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「細菌性膣炎にり患してみて」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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「デリケートゾーンのにおいが気になる……」「おりものが増えた気がする……」このような女性特有のデリケートゾーンのトラブルを経験したことはありませんか?
白色や灰色のサラサラしたおりものが生じ、外陰部のかゆみはあまり見られないものの、おりものや外陰部は魚が腐ったような生臭いにおいがする疾患に「細菌性膣炎」があります。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、細菌性膣炎は15歳から44歳の女性にとって最も一般的な膣疾患であり、2001年から2004年にかけて実施された調査によると、米国の女性における細菌性膣炎の有病率は29.2%であると推定されています。
ワシントン大学のKathryn氏らが世界の地域ごとの細菌性膣炎の罹患率を推定したところ、地域ごとに異なるものの、23%から29%の範囲にあり(ヨーロッパと中央アジアは23%、東アジアと太平洋は24%、北アメリカは27%、南アジアは29%)、世界的に細菌性膣炎の罹患率が高いことを指摘しています。
私ごとで恐縮ですが、先月末に人生で初めて細菌性膣炎に罹患しました。「おりものの量が普段よりも多くなってきたかもしれない」と感じつつも様子をみていたら、おりものの生臭いにおいを感じるようになりました。そのにおいも次第に強くなり、パートナーにも気が付かれてしまうほどになりました。
おりもののにおいが、今まで感じたことのない魚が腐ったような生臭いにおいだったことから、「細菌性膣炎かもしれない‥」と思いました。細菌性膣炎だとすれば、治療には抗菌薬が必要です。それに加えて、異常なおりものの匂いに、放置は良くないと不安になり、病院にかけこんだのでした。