※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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かみ合わせの違和感が生じる代表的な原因には、補綴治療や顎関節症によるものがある。歯を失ったり、欠けてしまった部分を詰める充填物やかぶせものなど補綴物の高さの丁寧な調整や、顎関節症の治療で症状の改善が期待できる。

【図版】原因の一つである顎関節症は推定1900万人 かみ合わせの違和感データはこちら

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 かみ合わせの違和感が生じる原因として、誰にでも起こる可能性があるのが、詰めものやかぶせものなどの補綴治療によるものだ。神奈川歯科大学病院総合診療科特任教授の玉置勝司歯科医師によれば、補綴物などが高い場合、かみ合わせるときに、他の歯よりも先に歯があたってしまったり(早期接触)、歯を左右にギリギリと横に動かしたときに歯が引っかかったり(咬頭干渉)することがあるという。

「こうした結果、特定の歯に力がかかって、その歯がダメージを受けてしまう。歯周病など悪い歯では、病気がさらに進行してしまいます」(玉置歯科医師)

■解析ソフトを使ってかみ合わせを調整

 なぜこのようなことが起こるのか。玉置歯科医師は、こう説明する。

「どんなに精度の高い補綴物を作っても、かみ合わせは高くなるので、ほとんどの場合、高さの調整が必要になります。この調整がうまくいかないことがあるのです」

 かみ合わせの調整は一般的には「咬合紙」を使う。厚さ20~30マイクロメートル(マイクロメートル=1マイクロメートルは1ミリメートルの1千分の1)のカーボンシートで、歯と歯の間に挟んで上下にカチカチ、左右にギリギリと動かすと、上下の歯が接触する部分、つまり強く当たるところに赤色や青色がつく。

 歯科医師は色のついている部分を削り、調整する。しかし、咬合紙は唾液などで濡れてしまうと歯に色がつきにくく、調整がうまくおこなえないこともあるという。

 また、口の中の感覚が敏感な人の場合、わずかなかみ合わせのズレにも違和感が生じやすい。玉置歯科医師のところにはこうした患者が多く紹介されてくるという。

 この場合、「咬合接触分析装置」を使う方法でうまくいくことがある。やわらかいシリコーンのペーストを患者自身のかみ合わせの位置で90秒間、かんでもらい、硬くなったものを写真で撮影する。

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専用の解析ソフトで分析