社会活動家の石山アンジュ氏(左)と独身研究家の荒川和久氏
社会活動家の石山アンジュ氏(左)と独身研究家の荒川和久氏

 少子化対策をどんなに頑張っても、日本の人口減少を止めることはできない。これまでの価値観や制度が通じなくなっていく中で、私たちはいかにして安定、安心を得ることができるのか。社会活動家の石山アンジュ氏と、独身研究家の荒川和久氏が新しい生き方や社会のあり方について意見を交わした。【後編】

【写真】新しい家族のかたちを追求するのはこの人

記事前編石山アンジュ×荒川和久 伝統的な家族観ではもう限界 非婚・子なしでも子育てにかかわる家族とは?」から続く

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荒川 出生率を増やすという議論は、1億2千万人という今の日本の人口規模にとらわれている感じがあります。いまの人口を維持するためには、1人の女性が最低5人産む必要がありますが、不可能でしょう。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2100年には日本の人口は6000万人程度になります。出生率を増やす議論とともに、人口が減少した新しい状況にどう適応するかも考えていかないといけません。

石山 少子化対策で人口が増えようが、減ろうが、何が人生に豊かさをもたらすのか、ということを考えないといけないと思っています。それは単純に経済の成長率であったり、人口数ではないですね。

荒川 幸せに生きる、という意味では、人とのつながりをいかに確保するか、がいま問われていると思います。

 地域コミュニティや職場コミュニティが失われて、孤立して生きるような状況が多くなっています。

石山 会社とか町内会といったコミュニティが、なし崩し的に溶けて、人と接点を持つ機会が、狭まってしまったと思います。

 コミュニケーション能力が高かったり、SNSでつながれる人は接点を持ち続けられますが、そうではない人も少なくありません。

荒川 体育会系の人たちの間では昭和的なコミュニティが残っていたりしますけどね(笑)

 ただ、コミュ力がないと社会で生きずらくなるというのは何とかしないといけないと思います。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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