かつて敗戦の瓦礫(がれき)から立ち上がったように、また手持ちのわずかなリソースを使い回して、もう一度「僕らがやってること、とりあえず世界の最先端ですから」というような台詞がさらっと口から出るような時代に出会いたいと僕は思っています。それは決してそれほど難しいことじゃない。

 もちろんAIとか創薬とか宇宙開発とか、そういう「やたら金がかかり、当たるとどかんと金が儲かる」領域では無理でしょうけれども、食文化とかエンターテインメントとか芸術とか学術のような、日本に十分な蓄積があり、かつ「新しいこと」を始めるのに、多額の初期投資とか、「えらい人たちへの根回し」とかが要らない分野でしたら、すでにそういう言葉が口元に出かかっているという人たちはいるはずです。

 僕らがそれを知らないのは、既成のメディアが「貧乏慣れ」して、ほんとうの意味での「ニューズ」に対する感度が鈍っているからだと僕は思います。みなさんも、一緒に「強く願って」くださいね。