【日スペイン間の温かい友情は、両国の皇室と王室との関係にとどまるものではありません。2011年3月、日本が未曾有の震災に襲われた際、スペイン王室はもとより、スペイン国民の方々から心温まる支援や励ましを頂きました。また,福島原発事故の初動対応に従事した「フクシマの英雄たち」に対し、スペインで最も権威のある「アストゥリアス皇太子賞」が授与されたことについては、日本でも大きく報じられました。こうした温かい友情と連帯の表明を通じ、両国の絆(きずな)はさらに強いものになりました。「逆境の時の友が真の友(El amigo en la adversidad, es amigo de verdad)」という諺(ことわざ)の意味を,我々日本人は改めて深く噛かみしめました】

 また、和食やアニメなど、日本文化への関心が高まっていることを挙げ、両国の交流への期待を寄せた。

【近年では、新鮮な食材の持ち味を引き出す和食の魅力がスペインの皆様に広く親しまれ、漫画やアニメーションなどの日本文化もスペインの若者になじみ深いものになっています。日本でもスペインへの関心が高まっており、フラメンコ、スペイン料理やワイン、ファッション、そしてサッカーなども注目を集めています。このように、国民レベルで双方への関心が高まっている中で、交流を通じ,両国国民の相互理解と友好関係がますます深まることを期待しております】 

 スペイン訪問を前に陛下は、どう表現すれば自然なスペイン語になるのかと熱心にカルロスさんに質問したという。陛下のスペイン語は、欧州人の基準でみても中級には達しており、日常会話には不自由しないレベル。ゆっくりではあるが美しい発音でスペイン語を話すという。

 天皇陛下の誕生日やお祝いのお茶会へ招待されて、カルロスさんは御所にうかがう機会もある。そして、令和の天皇ご一家への期待を寄せる。

「今年は、陛下と皇后雅子さまのご結婚から30年の節目にあたり特別な年です。国籍の垣根を越えて、世界中の人と自分の言葉で対話を望む陛下。その裏には、外交官として活躍した雅子さまの存在も大きいのではと感じます。勤勉で誠実な令和の天皇陛下は、国内そして海外との交流においても存在感を増していかれるでしょう」

(AERA dot.編集部・永井貴子)