巨人・坂本勇人
巨人・坂本勇人

 プロ野球界の中心勢力として、各球団にスター選手がそろっていたのが「88年世代」だった。2021年の東京五輪では田中将大大野雄大坂本勇人、柳田悠岐の4選手が選ばれ、金メダル獲得に貢献した。

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 だが、今回のWBCで侍ジャパンに選出されたメンバー30人の中に、彼らの名前はない。坂本、柳田はシーズンに向けてのコンディション作りに専念する意向を示し、出場辞退。田中は出場に前向きな姿勢を示していたが、代表から漏れた。

 スポーツ紙デスクは「黄金世代と呼ばれてきた1988年生まれの選手たちも34歳。選手としてのピークを越えた感が否めない。巨人で不動の遊撃手だった坂本勇人は昨年ケガで3度戦列を離れている。攻守で実力は抜きんでているが、今年も故障でシーズンを完走できないと、若手成長株のドラフト4位・門脇誠、中山礼都にポジションを奪われる危機になる。昨季途中にメジャーから復帰した秋山翔吾も定位置が安泰とは言えない。西川龍馬、野間峻祥と能力の高い2人のチャンスメーカーに加え、内外野を守れる上本崇司、堂林翔太、若手の末包昇大、中村健人、大盛穂と力のある選手がいる」と指摘する。

 個人成績を見ると、下降線をたどっている選手が多い。柳田はレギュラーに定着した2013年以降で昨季は自身ワーストの打率.275と爆発力を欠いた。24本塁打、79打点も納得できる数字ではない。田中はヤンキースで6年連続2ケタ勝利を挙げ、20年オフに楽天に復帰して大黒柱として期待されたが、21年が4勝9敗、昨年が9勝12敗と2年連続負け越し。打線の援護に恵まれない登板が少なくないことを加味しなければいけないが、悔しいシーズンが続いている。NPB最高額だった推定年俸9億円から大幅ダウンとなる推定年俸4億7500万円で昨オフに1年契約を結んだ。

 年齢を重ねると、コンディション作りが難しくなってくる。広島で正捕手を務めていた曾澤翼は昨季98試合出場にとどまり、打率.207、3本塁打、33打点。三塁を守っていた坂倉将吾が今季は捕手に専念するため、立場が一層厳しくなった。

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