東京都港区・赤坂。飲食店などが密集する繁華街から少し奥に入り、商業施設やマンションが立ち並ぶ静かな場所にY社が入っているビルがあった。6階建てでバルコニーもついているマンションタイプの建物だ。1フロアに2室。不動産業者のホームページで確認すると、築50年余りで主に賃貸オフィスとして使われているようだ。

 登記簿に書かれていた番号の部屋に行ってみると、Y社とは別の名称が書かれたプレートが貼ってあった。インターホンを押すと女性の声で応答があった。Y社のことについて聞くと、「会社のホームページにある問い合わせフォームから聞いてほしい」とのこと。

 その前に、そもそもこの部屋が本当にY社の本店なのか、Y社とプレートに書かれた会社との関係は、女性の所属は、などについて聞くと、

「私は(Y社とは別名の)一般社員」「わかりません」「問い合わせフォームで聞いて」

 の3パターンの回答を繰り返すだけで、最後は声を荒らげ、インターホンを切られてしまった。

 すぐにホームページにある問い合わせフォームから同様の質問を2度送ったが、2月17日現在、返信はきていない。

 ホームページには、Y社が経営している温泉旅館が書かれていたので電話で尋ねてみたが、

「以前、Y社が経営に関係していたことはありましたが、今はないです」

 との回答だった。

 他にわかったことといえば、Y社の社長は、東証マザーズに上場するテレビ広告関連の企業も経営していたが、2008年に「不透明な資金の流れが発覚した」として上場廃止になったことくらいだった。Y社の姿がなかなか見えてこないのだ。

 水道、電気、ガスが通っていない屋那覇島で、今後どのくらいの期間をかけて、どのようなリゾート開発を進める予定なのか。具体的な方向性は何もわからないのだ。

 伊是名村によると、Y社が購入した場所は島の内陸部で、飛び地だったり、里道が張り巡らされていたりするため、その場所で何かを始めようとすれば法律や規制に必ず引っかかる。しかし、村にはY社から相談もないという。

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村には勘違いの電話や罵声も